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やや早めながらテンプルトン流の総悲観相場乗り切りへ向け1月期決算会社の増配銘柄・高配当銘柄から打診余地=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
まるで「底なし沼」の惨状である。頼みの米国市場も、前週末15日にニューヨーク・ダウ平均株価が、昨年8月末以来、およそ4カ月半ぶりの安値に急反落して世界同時株安のストッパー役は見当たらず、動けば動くほど底なし沼の泥のなかにズブズブと足を引き込まれる趣である。とくにわが東京市場は、大発会以来6営業日続落し、いったんは13日に急反発したものの、これがあや戻しで、そのあと前週末15日まで再び続落、年初来の9営業日中の勝ち(値上がり)、負け(値下がり)は、1勝8敗と大惨敗し、こうしたショック安相場でよく気休めのように唱えられるアドバイスの「狼狽売りは慎め」のその狼狽売りの機会さえなく急落したから、ほぼすべての投資家が半端でない引かれ玉を抱えることになった。
なかでも心配なのは、昨年11月の日本郵政<6178>(東1)グループ3社の新規株式公開(IPO)で初めて株式投資に乗り出した投資家である。この3社のうち、すでにかんぽ生命保険<7181>(東1)とゆうちょ銀行<7182>(東1)が、昨年11月のIPO時につけた初値を下回って上場来安値を更新中で、日本郵政も、上場来安値まであと100円弱と続落している。「アベノミクス」のセールストークは「貯蓄から投資」で、安倍晋三首相自身もかつて米国で「バイ・マイ・アベノミクス」と大見得を切っており、これにうかうかと乗って「御用金相場」に参戦したことを悔やみ、どう対処すればいいか悩み煩っていると思うからだ。もしこのあと日本郵政グループ3社が、あと100円から500円下値にある公開価格を下回るようなことがあったら、投資家の怒り、恨み、哀しみは最高潮に達し、それを「株式投資は自己責任」などの原則論で切り抜けられるのか、あるいは政治問題化しないのか保証の限りではない。
そうした投資家には、参考としてあの著名投資家のジョン・テンプルトンの相場格言を贈りたい。有名な「強気相場は、悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観の中で成熟し、幸福感とともに終わる」という金言である。確かに、この相場格言は時期尚早であることは否定できない。相場自体が、総悲観の中にあるのは間違いないが、なお続出するかもしれない悲観材料は予断を許さず、株価も値幅調整のたけなわで、まだセリング・クライマックスには遠く、「コツン」と鳴る底打ちの音も聞こえていないからだ。しかしテンプルトン流に従えば、悲観相場の中で生まれているものが、きっとマーケットの片隅のどこかにはあるはずで、その動きを見逃してはならないことを示唆してくれてもいるのである。
では、見切り発車的にこのテンプルトンのこの相場格言にトライするとして、どこに注目したらよいか?1月期決算会社の増配銘柄、好配当利回り会社をマークし、どう動くか打診したい。1月期決算会社の権利付き最終日は、1月26日であとおよそ1週間余である。それまでなら値幅調整も、さすがに大きな峠を越え、悲観材料も、日米の主力企業の業績動向を含めて大方の目星がついているはずである。所有期間利回りからしても有利として安値で配当権利を取って、リカバリー相場の底上げに同調するようなら、これが相場全般に波及する展開も想定できるからだ。
現にこうした展開を示唆するような小さな動きもある。その代表は、ベステラ<1433>(東マ)の株価の堅調推移である。同社は、昨年9月に新規株式公開(IPO)された新興市場株で、昨年12月28日には今年1月31日を基準日とする株式分割(1対2)を発表し、続いて今年1月13日には今1月期の初配当を発表、期末配当は、普通配当70円に上場記念配当20円を上乗せして90円を予定している。株価は、昨年10月につけた上場来高値1万1900円には及ばないものの、25日移動平均線水準や公開価格2500円の2.7倍化水準をキープし、急落相場下で堅調に推移した。今後、権利付き最終日を前に権利取りの動きが活発化し、上値を窺うようなら、1月期決算会社のインカムゲイン狙いの買いが、市場をリードする可能性も小さくないはずだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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