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原子・分子が動く様子を“直接”観測することに成功―東工大・石川忠彦氏ら
A:光励起前のPt(dmit)2二量体の構造の模式図。灰色の球がPt原子、黄色の球がS原子、黒色の球がC原子を表す。B:電子線回折像を解析して作成した、各遅延時間におけるPt(dmit)2二量体の構造。Aの模式図と同じ方向から見ており、白い球体が各原子を表す。(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]
東京工業大学の石川忠彦助教と腰原伸也教授らの共同研究グループは、光スイッチの候補材料である分子性結晶「Me4P[Pt(dmit)2]2」に光をあて、原子や分子が動く様子の直接観測に世界で初めて成功した。
モノに光が当たると、光のエネルギーがモノを構成する原子や分子中の電子に吸収され、電子は励起状態となる。この励起状態にある電子が引き金となって物質全体の形(結晶構造)や電子状態を微弱な光ですばやく変化させ、場合によっては化学反応が起きることにより、様々な光機能が発揮されると考えられている。そして、この考えに基づいて光機能材料の開発が世界中で進められている。
今回の研究では、電荷分離相転移を示すMe4P[Pt(dmit)2]2を測定対象として、電子線回折測定による物質構造の時間変化の観測に成功した。さらに、特定の分子変形を仮定することのない新たな解析手法の適用により「分子動画」を作成すること、さらに分子動画から光照射によって引き起こされた原子分子の動きを“直接”見ることにも成功した。
今後は、本研究成果が、生体分子における光合成過程のような、思いもよらない複雑な動きをする場合にも、光照射に応答した構造変化の時間依存性を直接目で見て理解する道を拓くと期待されている。
なお、この内容は「Science」に掲載された。論文タイトルは、「Direct observation of collective modes coupled to molecular-orbital driven charge transfer」。
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