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動き出す、アセアン経済共同体。その拠点としてのタイと日本企業の今
アセアン経済共同体の発足に伴って、注目されるアセアン・マーケット。その拠点として、タイへの関心が高まっている。[写真拡大]
アセアン経済共同体の発足に伴って、注目されるアセアン・マーケット。その拠点として、タイへの関心が高まっている。タイはそもそも、インドシナ半島の中心という地理的な利点も大きく、多くの日本企業が以前より、こぞって進出している土地でもある。
タイの国家経済社会開発庁(NESDB)が発表した2015年第3四半期の実質GDP成長率は、前年同期比で2.9%となっており、2016年のGDP成長率は3.0~4.0%と、さらに加速する見通しをたてている。その根拠は、大規模な2つの財政刺激策。タイ政府は低所得者向けの新しい財政刺激策と中小企業向けの支援で経済発展を期待している。
日本企業だけでなく、2014年には、自動車やタイヤ、鉄道などのインフラ整備事業などの大型案件を中心に、中国系企業のタイへの直接投資が急増し、存在感を増している。中国系企業の投資は今後も増加基調を辿るとみられており、日本企業にとっても、タイ市場だけでなく、今後のアセアン・マーケットへの影響を考えると予断を許さない状況となっている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が2015年1~3月に行ったタイ進出日系企業調査によると、タイ国内の日系企業は4567社(前回調査3884社)。業種別の構成比をみると、製造業が全体の47.0%を占め、サービス業が49.5%となっている。パナソニック<6752>やNEC<6701>といった電機メーカー、ホンダ<7267>やマツダ<7261>などの自動車メーカーなどをはじめ、ALSOKのコーポレートブランドでおなじみの綜合警備保障<2331>や、マルチメディアコンテンツ系の教育機関を運営するデジタルハリウッドなど、実に様々な企業がタイ進出を果たしている。
製造業の中では、例えば、防振ゴムやホースなど自動車用品の製造で知られる住友理工<5191>などが積極的で、1995年に同社初のアジア圏拠点をタイに設立して以来、現在ではタイ国内計5拠点で防振ゴムやホースなど自動車用品のほか、練りゴムなどを製造・供給している。また、同社グループの事務機器向け精密部品分野における初めての海外生産拠点として、2012年10月にタイ・ラヨーン県に販売子会社、SumiRiko Chemical and Plastic Products (Thailand) Ltd.(略称:SRK-CP)を設立し、タイ国内はもちろん、ASEAN諸国やアジア各国に展開を始めている。
政情不安や干ばつ、国内消費の冷えこみ、爆弾テロ事件などの影響もあって、タイ経済はまだまだ油断できない状況であるが、復調の兆しは見えはじめているのではないだろうか。成長が期待されるアセアン・マーケットへの拠点という意味でも、2016年はタイ・マーケットへの注目がますます高まりそうだ。(編集担当:藤原伊織)
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