電力小売り自由化に関する意識調査、回答者の80%が「他業者への乗り換えを検討」

2015年11月25日 22:00

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記事提供元:エコノミックニュース

来年4月から電力小売りが全面自由化される。これに関し、経済産業省が行った国民の意識調査では調査対象者の80%が「乗り換えを検討したい」と回答したという。乗り換えを検討する場合、利用者はやはり料金を重視するようだ。

来年4月から電力小売りが全面自由化される。これに関し、経済産業省が行った国民の意識調査では調査対象者の80%が「乗り換えを検討したい」と回答したという。乗り換えを検討する場合、利用者はやはり料金を重視するようだ。[写真拡大]

 契約している携帯電話のキャリア変更は以前からよく見られたが、同じように2016年4月から電力会社も変更できるようになることはご存知だろうか。

 来年4月から電力小売りが全面自由化される。つまり、これまで地域ごとに決められた電力会社からしか電気を買うことができなかったのだが、他社電力小売り事業者に乗り換えて電力を買うことができるようになるのだ。

 今まで経験したことのない「選択肢」が登場することになり、ほとんどの一般家庭にとって初めての経験となる来年の電力小売り自由化であるが、これについて経済産業省が「電力小売全面自由化に関する意識調査」を公表した。

 調査期間は15年11月2~3日 、日本全国20~69歳男女個人、1000人を対象に行われた。

 この結果、「電気の小売自由化」について全体の60.5%が認知しているが、認知度は男性が女性よりも多く、年齢が上がるほど高くなる傾向があった。しかし具体的な認知内容となると、自由化が来年4月から始まることを知らないとの回答が40.6%もある。この結果が出た要因には、PR活動がそもそも効果的ではなかった、あるいは今まで未知の領域であった電力会社の自由選択についてあまり関心がない、といったことも考えられるが、来年の実施を考えると、若干物足りない結果といえよう。

 しかし、このような結果であっても、「電気の小売自由化に何を期待しますか」という問いについて、44.1%が「電気料金の抑制」と答え、24.2%が「電力供給の安定性」と答えた。自由化=価格競争が起こる、という図式はやはりあるようだ。

 一方、期待することの項目の中にある「原子力発電以外で作られた電気を購入できること」に期待すると答えた人は2.1%だ。おそらくこの2.1%の中には来年の自由化に備えてすでに乗り換え電力小売り事業者の検討を付けている人もいるのではないだろうか。

 続いて「あなたは、電気の小売自由化がされたら、電気を購入する電力会社の切り替えを検討したいと思いますか」という質問に対し80%が「乗り換えを検討したい」と回答した。性別年齢別では20代、30代男性に「検討したい」の回答が多いのも特徴だ。

 これから本格的に電力小売りの自由化が始まるわけだが、我々の手にはどのような選択肢があるのか、今一度確認する必要がある。「エネルギー情報局」ウェブサイトによれば、来年4月に向けて一般家庭に販売を予定している小売事業者の数はエネット、F-Power、オリックス<8591>など、現時点で21もある。さらに一般家庭への販売を検討している段階の企業も7社ある。そして今後はさらに増えていく可能性がある。

 もし乗り換えを検討するならば、こうした事業者について知り、それから料金プラン等各種サービスを比較しなければならない。が、やはりまずは「電力小売り自由化」について国民一人ひとりが十分に知ることが先決ではなかろうか。(編集担当:久保田雄城)

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