スーパーコンピュータ「京」がGraph500で再び世界第1位に

2015年11月21日 20:30

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 理化学研究所などによる国際共同研究グループは、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500において、スーパーコンピュータ「京(けい)」による解析結果で、2015年7月に続き第1位を獲得した。

 近年活発に行われるようになってきた実社会の複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされている。スパコンランキング「Graph500」はそのグラフ解析の性能を競うため、2010年から開始された。

 規則的な行列演算である連立一次方程式を解く計算速度でスーパーコンピュータを評価するTOP500においては、「京」は2011年(6月、11月)に第1位、その後、2015年11月16日に公表された最新のランキングでも第4位につけている。一方、Graph500ではグラフの幅優先探索という複雑な計算を行う速度で評価されており、計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められる。

 今回、「京」が持つ88,128台のノードの内の82,944台で、約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝から成るプログラムスケールの大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功した。ベンチマークのスコアは38,621GTEPS(ギガテップス)で、Graph500第1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したと言える。

 主要研究メンバーの一人である東京工業大学博士課程の上野晃司氏は、「私たちが開発した手法によって「京」が前回7月に続いて世界1位を達成できたことを大変嬉しく思っています。激しい競争がされてきたGraph500にて1位を継続することができたことは、「京」のハードウェア性能とそれを最大限に活かす私たちの手法が真に優れていることを示したものと思っています。今後もこのような努力を続け、「京」のポテンシャルをどこまで活かせるか、挑戦したいと思います」とコメントしている。

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