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「原油安メリット相場」発進では業績上方修正済みの3PL関連株がアナ株人気を高めて高値直行便期待も=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
「石が浮かんで木の葉が沈む」ほどのショッキングな定石破りではないが、前週11日のマーケットでちょっとした異変、ツマズキが起こった。前日10日大引け後に今3月期業績を上方修正した銘柄の株価が、続落し、下方修正した銘柄が、急反発したのである。上方修正した銘柄はセイノーホルディングス<9076>(東1)で、下方修正したのが国際石油開発帝石<1605>(東1)であった。セイノーHDの続落は、上方修正した今期通期業績が、なお市場コンセンサスを下回っていることがマイナスに働いたもので、そうした失望安は、折から続いていた3月期決算会社の4~9月期(第2四半期、2Q)業績の発表では、たいして珍しいケースではない。問題は、国際帝石の急反発にある。
国際帝石の今期業績の下方修正は、今年8月に続いて2回目であった。想定した原油価格(ブレント原油)が、期初予想の1バーレル=65ドルから8月、11月と引き下げられ53.7ドルとしたことが要因となった。8月の業績下方修正時には、株価は下落、年初来安値を探る動きとなったが、今回は、逆に81円高と反発した。これは、前日10日の米国市場で、原油先物(WTI)価格が、0.34ドル高と反発し、これが同日、国際エネルギー機関(IEA)により発表された2015年版世界エネルギー見通しで、2020年には原油価格が1ドル=80ドル程度に達すると予想されたことをポジティブに受け取ったことが要因となっていた。
原油価格は、今年8月に1バーレル=37ドル台まで落ち込み、その後、中東の地政学リスクで49ドル台まで急反発し、40ドル台央で安定的に推移していたものの、足元では再び40ドル台キープがやや不透明化していた。そこにIEAの80ドル見通しと原油価格の反発である。ことによると、12月4日に開催が予定されているOPEC(石油輸出国機構)の総会で、主要産油国が渋っていた減産が合意されるのではないかと身構えたフシもあった。
これが飛んだツマズキであったことは、翌12日に直ぐに判明した。WTI価格は続落して再び40ドル台割れを窺い、IEAも、前週末発表の11月月報では、2016年の世界の原油需要が、2015年に続いて伸び悩むと予想したからだ。こうなると、イランへの経済制裁の解除などから世界の原油需給はさらにダブつくことは明らかで、日本や欧米先進国などの北半球では冬場の石油需要期を迎えるものの、OPEC総会によほどのサプライズがない限り、原油価格下落が続くことになる。
株式市場にとっては、原油安メリット株の出番となるはずだ。この原油安は、物価目標2%達成に向けて悪戦苦闘している日銀の黒田東彦総裁にとって、さらに物価を押し下げる逆風になるもので、仮にシビレを切らした同総裁が、今週18日~19日開催の金融政策決定会合で追加金融政策を決断、全面高を呼び込む1カ月以上も早いクリスマスプレゼントを届けてくれる可能性もないではないと期待したくなる。多分、この期待も、あの記者会見で眉間に皺を寄せて記者の質問に答えるシブチン顔の黒田総裁からは「贔屓の引き倒し」でツマヅキとなるのは間違いなさそうだ。原油安メリット株の出番といっても、余り手を広げず定番銘柄に限定するのが無難のようである。
原油安メリット株の最大の定番銘柄は、電力株である。ただこの電力株は、あの東京電力<9501>(東1)の福島第1原子力発電所の事故以来、アンタッチャブルとする投資家が少なくないようで、ここはまず準定番銘柄の空運株をマークし、小型株・アナ株志向の投資家は、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)関連株へのアプローチを一考することを勧めたい。
3PLとは、日本語では物流業務一括受託と訳され、メーカーや小売事業者が、商品の保管・包装・配送・代金決済までを外部の専門物流事業者に委託して、自社で運営していた物流システムの合理化・効率化・迅速化を図る代行ビジネスで、ネット通販の急拡大などを受けてこの3PL用の物流センサーの整備や、全国ネット化に向けての業界再編なども進んでいる。大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)によって輸出入貨物が拡大してこのビジネス機会が、国内から海外へとグローバル化し、豪物流大手のトール・ホールディングを買収した日本郵便を傘下にもつ日本郵政<6178>(東1)が新規上場されるなどの追い風も吹いている。原油安でこの3PL企業が受けるメリットは、トラック用の燃料費負担減で、現にこの3月期決算の4~6月期決算発表で、これを要因の一つにセイノーHDのように3月期決算を上方修正した銘柄も続出した。投資ターゲットには、まずこの上方修正銘柄のうちの低PER・PBR株が浮上してくる。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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