地元住民が自前のブロードバンドサービスを構築した米国・ワシントン州の島

2015年11月3日 16:35

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記事提供元:スラド

米国・ワシントン州のオーカス島で、一向に改善されないブロードバンドサービスに業を煮やした地元の住民が自前のブロードバンドサービスを設置し、運営しているそうだ(Ars Technicaの記事RTの記事)。

オーカス島はワシントン州の北東端、米国本土とカナダ・バンクーバー島の間に位置するサンファン諸島最大の島。地元ではCenturyLinkが下り1.5Mbpsのブロードバンドサービスを行っているが、実際には700kbps程度しか出ず、多くの人が自宅でインターネットを使用する時間帯には100kbps程度まで低下するという。2013年11月には10日間の接続障害が発生したほか、数日の接続障害はしばしば発生していたとのこと。

ある時、地元のChris Sutton氏らは16kmほど離れた本土にあるブロードバンド中継塔が島から見えることに気付く。ここから電波を中継して各家庭を無線で結ぶことを考えたSutton氏ら有志は、非営利組織Doe Bay Internet Users Association(DBIUA)を設立してブロードバンド網構築に着手した。DBIUAはStarTouch Broadband Servicesに11,000ドルを支払ってマイクロ波によるIP接続サービスの提供を受け、15メートルほどの高さの給水塔に接続設備を設置。樹上や家屋の上に設置した無線基地局を介して各家庭へWi-Fiによるブロードバンド接続を提供している(技術詳細)。サービスエリアなどの確認にはGoogle Earthやドローンを活用したという。

現在、200ほどの基地局がサービスエリア内に設置され、50軒がサービスを利用している。通常の接続速度は下り30Mbps/上り40Mbpsほどで、問題が発生しない限り20Mbpsまで低下することはないとのこと。DBIUAではユーザーを年内に60軒程度まで増やせるとみているが、十分な回線容量が確保できるまでユーザーを増やし過ぎないようにしているという。

DBIUAはサービスの構築に25,000ドルほどを費やしており、地元の住民からの借金で費用を賄っている。サービスの利用費は入会金150ドルと月額75ドル。DBIUAは月900ドルをStarTouchに支払い、残りを返済に充てている。Sutton氏は早く借金の返済を終わらせて、月額料金を安くしたいと考えているようだ。 スラドのコメントを読む | ITセクション | 通信 | インターネット | IT | アメリカ合衆国

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