電子タバコの使用による急性呼吸器疾患が確認される

2015年10月28日 09:28

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記事提供元:スラド

headless 曰く、 電子タバコの使用による急性呼吸器疾患の症例が確認されたそうだ(論文概要Medical XpressSoftpedia)。

 症例は葉巻を吸う60歳の米男性で、衰弱や寒気、咳を訴えて入院した。放射線検査で異常は発見されず、抗生物質の投与で回復して3日後に退院したという。しかし1か月後、同様の症状により再び入院。この時はさらに発熱や低酸素血症も確認された。診察では左右の肺の上部からパチパチという音が聞かれ、CTスキャンで左右の上葉に影が広がっているのが確認される。

 問診の結果、2回の入院の前に香りの強い電子タバコを吸っていたことが判明。電子タバコの使用による吸入障害と診断され、急性過敏性肺炎の疑いがあるとされた。その後患者が電子タバコの使用をやめたところ同様の症状が現れることはなく、3か月後の検査で異常は見られなかったとのこと。

 電子タバコのリキッドにはニコチンやプロピレングリコール、植物性グリセリンのほか、香料が含まれる。最近の調査では甘い香りのリキッドでは69%がジアセチルを含むと推計されている。ジアセチルはポップコーンなどの加工食品にバターのような風味をつけるために使われており、ポップコーン工場の労働者に閉塞性細気管支炎の症状が確認されたことから「ポップコーン肺 (popcorn lung)」などと呼ばれている。ジアセチルを扱う労働者では、閉塞性細気管支炎だけでなくさまざまな肺疾患がみられるという。

 米国では電子レンジ用のポップコーンを毎日2袋食べていた男性がポップコーン肺になった例もあり、ジアセチルを使用しない電子レンジ用ポップコーンも増えているようだ。一方、電子タバコへの規制はあまり行われていない。現在、米食品医薬品局(FDA)では治療用として販売される電子タバコのみを規制の対象としているが、タバコ製品として規制することを提案しているとのことだ。

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