米海軍兵学校、天測航法の授業を復活

2015年10月17日 19:52

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記事提供元:スラド

米海軍兵学校では20年近く前に天測航法の授業をやめていたのだが、今年から復活させたそうだ(Capital Gazetteの記事The Washington Postの記事)。

海軍兵学校では100年以上前から天測航法を教えていたが、GPSが登場したことで時代遅れとされ、一部のレッスンを除き1990年代に廃止されている。しかし、GPSが使用できない場合の代替手段がないため、サイバーセキュリティーの観点から天測航法の授業を復活させることになったとのこと。現在のところ天測航法の授業は3時間のみで、実際に六分儀を使えるようにはならないとみられる。ただし、今後は基礎的な理論から実践的な内容に拡大していく計画のようだ。

米海軍でも2006年に天測航法の訓練をやめているが、2011年には航海士向けの訓練を復活させており、来秋にも入隊者全員に拡大する計画だという。沿岸警備隊士官学校では天測航法の専門コースを10年ほど前に廃止しているが、引き続き一部の授業で教えている。また、現在も天測航法を教えているマーチャントマリンアカデミーでは、教官が海軍兵学校のプログラム再構築に協力したとのこと。

サイバーセキュリティーの観点から古い技術を復活させる例としては、ロシアがタイプライターを導入しており、ドイツでも導入を検討していると報じられている。また、英国ではGPSのバックアップとして地上ベースの電波航法システム「LORAN」を改良した「eLORAN」の運用を昨年から開始している。 スラドのコメントを読む | セキュリティセクション | 地球 | 軍事 | セキュリティ | サイエンス | アメリカ合衆国 | 交通

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