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【コラム】軽減策 10%と同時か後か 参院選前に表明を
消費税の軽減税率をめぐって与党の自民、公明間に、導入時期や負担軽減策の隔たりが鮮明になっている[写真拡大]
消費税の軽減税率をめぐって与党の自民、公明間に、導入時期や負担軽減策の隔たりが鮮明になっている。公明党は、軽減税率は消費税10%への引き上げと同時に導入することを選挙公約で打ち出したし、当然、約束は履行頂きたいと考える。多くの国民は同時導入と解しているはず。
一方、自民党はもともと軽減税率導入に消極的だった。事業者に事務上の負担がかかるというのが最大の理由。線引きの難しさもあげている。自民党の野田毅税制調査会長は消費税を10%にする「2017年4月に導入するのは非現実的」と民放番組で述べた。
自民党は「関係事業者を含む国民の理解を得たうえで税率10%時に導入する」としているのみで、10%に引き上げと同時に導入するとしていない。しかし、同じ与党の公明党が総選挙で、同時導入をあげ、支持されてきたことを踏まえれば、国民(消費者)の視点に立つことは与党の責任だ。
公明党の漆原良夫中央幹事会長は「2017年4月1日からの軽減税率導入は前回の衆院選での共通の公約」とし、「国民から負託を得た」と野田氏の発言をけん制している。
公約違反なら事業者サイド、日本経済団体連合会サイドの視点が「安倍政権の体質そのもの」と言われることになろう。
財務省の示した、マイナンバーを使って、消費者が10%の消費税を一度納め、その後に2%分を還付する案については、麻生太郎財務大臣が与党側から良い案はないかといわれ提示したもので、これにしてほしいというものではない。「財務省案にはまったくこだわらない」と与党協議のたたき台あるいは参考、参考にならなければ、それはそれで結構、与党でよい案を出されればよい、とのスタンスだ。
公明党は違憲の疑いのある安保法案を自民に半ば歩み寄り、支持母体の創価学会員からも反対のデモ活動参加も出る中、安保法案成立に歩調を合わせた。今度は、消費税引き上げと同時に軽減税率導入を図るよう、自民党に歩み寄りを求める番だ。
公明党は軽減税率については「(対象が極小でない限り)インボイスを含む新たな区分経理の仕組みを導入することが不可欠」であることや「高所得者にまで恩恵が及び、所要財源が大きくなる一因に」など、課題をあげているが、そのことは百も承知で、軽減税率導入を提唱してきたはずだ。
出来るだけ、早期に制度設計を実現し、消費税引き上げ時の同時導入を果たして頂きたい。同時導入が無理なら、むしろ、消費税の引き上げ時期を先送りすべき。
社会保障関係費の膨張を考えれば先送りできないというなら、法人実効税率の引き下げこそ先送りし、財源確保を図るとともに、国内消費の需要喚起策を講じるべきだろう。
最近、維新の党は党税制調査会で「軽減税率でなく、低所得者へ現金給付する『給付付き税額控除』で、世帯所得に応じ1人当たり2万円から3万円を給付する」策をまとめた。「子どもの多い世帯は支給額が多くなり結果的に子育て支援にもつながる」としている。
与党は、野党の案にも耳を傾け、どうすることが低所得者への負担軽減策に最も実効があがるのか、かつ、消費税引き上げ効果(軽減策財源を抑制することができるのか)を反映できるかを、国民に分かり易く、納得できる策を、消費税引き上げ前に確定して頂きたい。
「同時導入など、出来ないことは約束できない」などの発言は言い逃れにしか聞こえない。同時導入を与党の責任で果たすべき。同時導入するのか、引き上げのみ先行するのか、それだけでも参院選挙前に結論を示す誠実な対応が求められる。(編集担当:森高龍二)
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