産総研、ハイヒールで踏んでも壊れないトランジスタを開発

2015年8月17日 21:48

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ハイヒールで踏まれるトランジスタ(背景)と踏まれる前後の性能(右下)(産総研の発表資料より)

ハイヒールで踏まれるトランジスタ(背景)と踏まれる前後の性能(右下)(産総研の発表資料より)[写真拡大]

 産業技術総合研究所(産総研)の関口貴子主任研究員、田中文昭(元)特別研究員は、衣類のように柔らかく、伸縮やねじれなどの負荷をかけても壊れないトランジスタを開発した。

 柔らかい電子デバイスができれば、人体にそれほどストレスを与えないで、普段の生活の中で脈拍や不整脈の有無、皮膚温などの健康状態を計測できるようになる。しかし、従来の電子デバイスは、金属や酸化物を使用していたため、このようなデバイスの実現は困難であった。

 今回の研究では、電極に導電性単層CNTゴム複合材料、チャネルに半導体的性質の単層CNT、絶縁層にイオンゲル、基板にシリコンゴムを用いたサイドゲート型トランジスタを開発した。柔らかさと丈夫さの指標としてヤング率を測定したところ、構成材料である導電性単層CNTゴム複合材料、イオンゲル、シリコンゴムは、衣類に近い柔らかさと丈夫さを持つことが明らかになった。

 さらに、ハイヒールで踏んだ(圧力:約2.5 MPa)際のトランジスタ特性を調べたところ、オン電流、オンオフ比などのトランジスタ特性にほとんど変化がないことも分かった。

 今後は、柔らかいセンサーやエネルギーデバイスと統合することで、医療用の人体圧力分布センシングシステムなど、ヒューマンモニタリングシステムが開発できると期待されている。

 なお、この内容は「Nano letters」に掲載された。

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