【中国の視点】人民元安進行:中国経済に吉か凶か、不動産バブル崩壊の懸念も

2015年8月14日 08:11

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記事提供元:フィスコ


*08:15JST 【中国の視点】人民元安進行:中国経済に吉か凶か、不動産バブル崩壊の懸念も
中国人民銀行(中央銀行)は11日から3日連続で人民元の対米ドル仲値を大幅に引き下げた。オフショア市場では、元の対米ドルレート(終値ベース)は3日間で計3%以上の下落となった。

これまでのマクロ経済理論では、元安が中国からの外資流出を加速させるほか、中国国内の資産価値が低くなるため、中国の不動産市場にダメージを与えるという推論となる。また、中国人の平均収入に対し、不動産価格が割高であるため、一段の元安進行が不動産バブルの崩壊を引き起こすとの見方が浮上している。

ただ、中国の外貨準備高が依然として潤沢であるほか、中国の不動産市場に占める外資の割合が低いため、元安が不動産市場にマイナスな影響を与えるものの、バブル崩壊を引き起こすとの見方が客観的ではないとの意見も浮上している。

なお、1985-88年の約3年の間、円の対米ドルレートは5割上昇(円高)し、国内への外資流入が加速していたため、これが日本の不動産バブルを作り出したといわれている。

また、1997年にタイでの通貨下落を皮切りにアジア通貨危機が発生した。これについて、タイ経済と金融システムが大きな病みを抱えていたほか、同国の外貨準備高が不足していたことや、ジョージ・ソロスらヘッジファンドによるタイ・バーツの空売りなどが重なった結果だと分析されている。《ZN》

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