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HTML5のBattery Status APIでユーザー追跡の可能性が指摘される
HTML5のBattery Status APIで取得したデータを利用して、Webサイトがユーザーを特定する可能性が指摘されている(論文: PDF、The Guardianの記事、Mashableの記事、V3.co.ukの記事)。
Battery Status APIは、Webサイトがモバイルデバイスやノートパソコンのバッテリー状態を把握し、必要に応じて低消費電力モードと高パフォーマンスモードに切り替えられるようにするためのもの。現在のところ、Battery Status APIはChromeおよびOpera、Firefoxで利用できる。W3Cではプライバシーへの影響は少ないとして、ユーザーの承認を得ることなく呼び出せるようにしている。
Battery Status APIでは充電中かどうか、バッテリー残り時間/充電完了までの残り時間(秒)、バッテリー残量レベル(0.0~1.0)といった情報のほか、充電状態の変化などのイベントが利用できる。研究チームがFirefoxを使用して検証した環境では、残り時間と残量の組み合わせは14,172,310通りとなり、充電時間を加えるとその2倍になるという。そのため、取得した情報がユーザーを識別するフィンガープリントとして使われる可能性もある。
(続く...)
バッテリー残り時間はPCの動作状況によって変化するため、長期間にわたってユーザーを追跡することは困難とみられる。ただし、情報は30秒に1回しか更新されないので、あるWebサイトを訪れた直後にプライベートブラウズモードで同じサイトを再度訪れた場合など、ユーザーが特定される可能性がある。サードパーティーのスクリプトを複数のWebサイトに配置すれば、ユーザー情報をサイト間でリンクさせることも可能だ。また、NAT越しにアクセスする企業ユーザーの場合にも、バッテリーの情報をもとにして識別が可能になる。
なお、WindowsやMac OS X上のFirefoxで返されるバッテリー残量レベルは小数点以下2桁となっている。一方、UPowerからバッテリー残量を取得するLinux上のFirefoxでは64ビットの倍精度浮動小数点数が返されるため、この値からバッテリーの容量を推定することも可能だという。仕様上のバッテリー容量は同じようなものが多いが、使用期間や使用状況によってバッテリー容量の減少度が異なるため、より正確にユーザーを特定することが可能となる。
研究チームではBattery Status APIで取得可能なバッテリー残量レベルの精度を下げることや、APIの使用にユーザーの承認を必要にするなどの対策を提案している。 スラドのコメントを読む | ITセクション | セキュリティ | 電力 | インターネット | デベロッパー | プライバシ
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