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「業績相場」でも「逆業績相場」でも消費関連株はまず月次売上高動向を手掛かりに再浮上の展開も=浅妻昭治
「業績相場」なのか「逆業績相場」なのかよくみえてこない。好業績銘柄を歓迎して買い上がる相場なのか、業績悪銘柄を敬遠して売り抜け競争をする相場なのかはっきりとしないのである。それもこれも、ファナック <6954> が、今年7月28日に発表した今3月期業績の下方修正のマイナス・インパクトが大き過ぎたからだ。同社株は、今年4月には積極的な株主還元方針を発表して「コーポレートガバナンス(企業統治)・コード元年」のシンボル株として全般相場を牽引し、株価も発表翌日に1775円高した。ところが今回の業績下方修正ではまったく逆で、翌日の株価が、3185円安と値下がり幅・値下がり率とも4月の倍返しを演じ、「ショック安」ともいえる急落となった。
このショック安は、東京市場に先立って4~6月期決算発表が進んでいた米国市場の決算発表・株価動向が増幅した側面があったことも否定できない。米国株でも、グローバル企業とされる主力株が相次いで業績不調で株価も急落させていたのである。ドル高と中国景気の減速懸念、さらに原油価格などの資源価格安が、業績や株価の圧迫材料となった結果であり、ファナックの業績下方修正は、この中国景気の減速が、早くも日本企業にまで波及してきたことを追認する形となった。世界の金融市場は、6月がギリシャへの金融支援問題、7月が中国の景気減速がそれぞれ撹乱要因となったが、さてきょう3日からスタートする8月相場は、この中国問題が、引き続き株価の足を引っ張るのか、アク抜けとなるのか、それとも別の撹乱材料がネガティブ・サプライズとして表面化するのか懸念を強めさせたことになった。
「業績相場」か「逆業績相場」か見極めるのはまだ早計だろう。3月期決算会社の4~6月期(第1四半期、1Q)決算の発表は、前週末31日にピークを迎えたが、それでもまだ大所の決算発表は残っており、ポジティブ・サプライズが飛び出さないとも限らない。これまでも「ファナック・ショック」の一方で、好業績や業績の上方修正を発表して個別に株高評価される小型株なども出ており、全般相場を押し上げるまでには至っていないものの、市場には、待機資金も物色意欲も健在であることを示唆していたからである。
さて、そうした相場環境下での8月相場である。8月相場は元来、「夏枯れ相場」となるのは例年のことである。メーンプレイヤーの外国人投資家がバカンス入りとなり、甲子園で高校野球の全国大会が、今年も8月6日に開幕し、続いてお盆休みとなり、市場参加者が減少して薄商い・小動きの閑散相場が繰り返されてきた。そんな例年通りの8月相場になるのか、それとも突発材料が出現してオチオチ夏休みも取れない忙しさになるのか、月初早々から二者択一をせっつかれそうである。連日続く猛暑日のなかでシンドイことで、熱中症の心配も兆してくる。そこでである。ここはもう少し肩の力を抜いて足元を見直したらどうかと避暑対応を提案したいのである。2月決算会社・8月決算会社の多くにとっては、この8月26日は、中間期・期末の配当や株式分割の権利付きの最終期日となる。この権利取りから8月相場に船出するややディフェンシブなアプローチである。
2月決算会社・8月決算会社は、多くが小売関連や外食関連の消費関連株である。個人消費環境は、あまり芳しいとはいえない経済指標が続く。前週末31日に総務省が発表した6月の家計調査で、消費支出が前年同期比マイナスとなり、8月17日に内閣府が発表予定の4~6月期GDP(実質国内総生産)も、3四半期ぶりにマイナスとの観測が有力である。しかし、週明け早々にはファーストリテイリング <9983> などが次々に7月の月次売上高速報を発表してくる。この月次動向で、まず足元の消費実感が経済指標通りなのかをリサーチするのである。すでに月央締めで7月度の月次速報を先行して発表したドラッグストア株は、連続のプラスで株価も好感高をした。今後の月次動向の発表では、懸念される中国株急落によるインバウンド(外国人観光客)消費への影響も見極められるはずである。月次動向がポジティブと確認できれば、配当・分割の権利取り、さらに好業績株へと順次、銘柄選択を広げるのである。8月相場を大勝ちもないが、その代わり大負けの懸念もなく、ちょうど良く乗り切れることを期したい。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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