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温室効果ガスの排出量を減らし、収穫量が増える遺伝子組み換えイネが開発される
遺伝子組み換えにより収穫量を増やす一方で、温室効果ガスの排出量を減らすことのできるイネが開発されたそうだ。土壌中の酸素が不足する水田では、イネの根から出される有機物を嫌気性微生物が分解してメタンが生成される。そのため、水田は最大のメタン排出源となっているという(論文アブストラクト、Ars Technicaの記事、Slashdotの記事)。
Swedish University of Agricultural Scienceの研究チームは、イネにオオムギの遺伝子を組み込んだ「SUSIBA2」を作成。中国の水田で栽培実験をしたところ、地上部分の重量がおよそ30%増加する一方で、地下部分は35%減少したという。その結果、コメの収穫量は重量で50%近く増加し、デンプンの含有量もおよそ10%増加。メタン生成量は成長段階によって異なるが、90~99%減少しており、根の部分に住む微生物も半分以下に減少したとのこと。
Nature掲載論文の関連記事でNetherlands Institute of Microbial EcologyのPaul Bodelier氏は研究成果を称賛しつつ、この作物が長期間かつ広範囲で利用可能なものであるかどうかの確認が必要であると述べ、微生物の減少による病気への耐性が低下する可能性や肥料の使用量が増加する可能性を例として挙げているとのことだ。 スラドのコメントを読む | サイエンスセクション | バイオテック | サイエンス
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