(中国)内陸都市の成都が変貌、欧州と結ぶ国際物流拠点に

2015年7月17日 08:25

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記事提供元:フィスコ


*08:25JST (中国)内陸都市の成都が変貌、欧州と結ぶ国際物流拠点に
中国の内陸に位置する四川省成都市は、物流拠点都市として存在感を高めている。アジア最大規模を誇る鉄道貨物輸送の拠点ターミナル、成都青白鉄路集装箱中心駅を起点に、欧州に向かう鉄道貨物定期便「蓉欧快鉄」が2013年4月に開通。昨年7月から、中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)と結ぶ「中亜国際鉄路貨輸列車」も運行を始めた。中国政府が提唱している「一帯一路」構想や、長江経済ベルトの発展推進計画を追い風に、成都市は国際物流ハブ機能の向上を目指している。

「蓉欧快鉄」は毎週土曜日に成都市を出発。中国製の家電、自動車部品、機械・設備、アパレル製品を積んだコンテナ列車は西へと進み、新疆ウイグル自治区の阿拉山口を経てカザフスタンに入る。ロシア、ベラルーシなどを通り、出発から11日間でポーランドのウッチに到達。ウッチからは鉄道やトラックで貨物が欧州各地まで届けられる。列車を運行する成都亜欧班列物流公司の陳傑・総裁によれば、運行開始からの累計便数はすでに98便を数えた。貨物輸送量は2万5000トン、金額ベースで6億6500万米ドル(約824億円)に上っている。海運と比べて所用期間が大幅に短縮され、空運よりコストがはるかに安いのが強みだ。

中国東南部の沿岸エリアから中西部エリア、中央アジア、欧州までをつなぐ「経済回廊」の構築に乗り出している。成都市政府は今年初めに、長江沿岸の湖北省武漢市、四川省瀘州市と港湾物流の戦略提携をめぐり、枠組み契約を交わした。長江を利用した貨物水運と連動させ、「上海~武漢~成都~欧州」の物流ルートを形成する狙いだ。また、福建省アモイ市に合弁会社を立ち上げ、7月から「アモイ~成都~欧州」の貨物列車を運行させる。さらに浙江省寧波市、雲南省昆明市との協議も進められているという。

物流面の強みが成都市への投資を呼び込む。自動車産業が成都市の基幹産業になりつつあるという。ボルボ、トヨタ、フォルクスワーゲン、吉利汽車HD(175/HK)、東風汽車集団(489/HK)といった自動車大手メーカーはここ数年、相次ぎ同市に工場を設立。成都の工場から、米国、東南アジア、中東、中央アジア向けに自動車を輸出している。15年の完成車生産台数は100万台の大台を突破する見込みだ。

【亜州IR】《ZN》

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