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理研のスパコン「京」がGraph500で世界第1位を獲得
近年活発に行われるようになってきた実社会における複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされている。例えば、インターネット上のソーシャルサービスなどでは、「誰が誰とつながっているか」といった関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われる。
また、サイバーセキュリティや金融取引の安全性担保のような社会的課題に加えて、脳神経科学における神経機能の解析やタンパク質の相互作用分析などの科学分野においてもグラフ解析は用いられ、応用範囲が大きく広がっている。こうしたグラフ解析の性能を競うのが、2010年から開始されたスパコンランキング「Graph500」だ。
理化学研究所(理研)、東京工業大学、アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリン、九州大学、富士通による国際共同研究グループは、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500において、スーパーコンピュータ「京(けい)」による解析結果で、2014年6月以来、再び第1位を獲得したと発表した。
Graph500のランキング上位は、1位が「K computer」で 理研 計算科学研究機構に設置されており、ベンダーは富士通である。2位が「Sequoia」米国のローレンス・リバモア研に設置されており、ベンダはIBM。 3位は「Mira」で米国のアルゴンヌ研に設置されており、ベンダーはIBMである。4位が「JUQUEEN」でドイツのユーリッヒ研に設置されており、ベンダーはIBMである。5位は「Fermi」でイタリアのCINECAに設置されており、ベンダーはIBMである。
今回Graph500の測定に使われたのは、「京」が持つ8万8,128台のノードの内の8万2,944台で、約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝から成るプログラムスケールの大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功した。ベンチマークのスコアは38,621GTEPS。
Graph500第1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算によるだけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したとしており、幅広い分野のアプリケーションに対応できる「京」の汎用性の高さを示すものだという。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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