関連記事
企業の47%が”本業“から別の業種に変化
経済のグローバル化やサービス化、技術革新・情報化の進展等、企業経営を取り巻く環境の急激な構造変化が進むなか、企業が長期継続する要因として、経営戦略のなかで“本業”をどのように捉えるかが重要となっている。また、成長戦略では、金融機関に対して、融資企業の経営改善や生産性向上、体質強化への取り組みがなされるように、企業の本業支援に努めるよう求めている。
そこで、帝国データバンクは、“本業”の現状と今後に対する企業の見解について調査を実施した。それによると、創業時(設立時)と現在とを比較して、企業の47.7%で“本業”が変化していた。また、約半数の企業は今後10年間で本業が変わる「可能性はある」と見込むという。
詳しくみると、まず、創業時(設立時)と現在を比較して自社の“本業”が変化したかどうか尋ねたところ、「変化した」と回答した企業は47.7%となり、約半数の企業で創業以来、本業が変わっていることが明らかとなった。他方、「変化していない」も47.1%で、ほぼ拮抗する結果となった。
また、今後10年間で自社の“本業”が変わる可能性があるか尋ねたところ、「可能性はある」が47.8%となり、「可能性はない」(33.1%)を14.7ポイント上回った。約半数の企業が、今後、“本業”が変わる可能性はあると見込んでいる。
過去に“本業”が変化した企業では、今後も変わる可能性を視野に入れており、全体の3社に1社に上った。同時に、過去には変化してこなかったが、今後は変化する可能性があると考える企業も1割超となっている。ただし、これまでも今後も“本業”に変化はないとする企業は3割近くとなっており、自社の本業を保持し続けるとする企業も多い。
そこで、“本業”の変化を業種別にみると、本業が過去に変化し、かつ今後も変化の可能性はあると回答した企業【常に変化】は、「電気通信」「放送」「出版・印刷」が5割以上となった。その他、「繊維・繊維製品・服飾品製造」や「パルプ・紙・紙加工品製造」「紙類・文具・書籍卸売」「繊維・繊維製品・服飾品卸売」など、繊維や紙類関連において“本業”を変化させ続けている様子がうかがえるとした。
また、本業が過去に変化しておらず、かつ今後も変化の可能性はないとした企業【常に変わらず】は、「医薬品・日用雑貨品小売」が50.0%で最高となったほか、「旅館・ホテル」「教育サービス」「各種商品小売」「放送」「農・林・水産」が4割台で続いた。
本業が過去は変化していないが、今後は変化の可能性はあるとした企業【変化に直面】は、「電気・ガス・水道・熱供給」が27.3%で最も高く、以下「電気通信」「情報サービス」「飲食店」「家具類小売」が2割台で続いた。「電気通信」は【常に変化】でも1位となっており、これまで変化しなかった企業においても“本業”の変化を迫られている。その他、「娯楽サービス」や「専門商品小売」など個人を顧客対象とする業種が上位に上がる結果となった。
企業からは、「本業を守りながら、サービス内容を革新させていくことで、事業の継続を図っていく」(鉄鋼卸売、鳥取県)や「本業の生産性の向上・効率化などによる本業の深化をはかるのみ」(森林組合、茨城県)など、“本業”を中心として今後も事業を展開するという声が多く挙がった。(編集担当:慶尾六郎)
■関連記事
・製造業で注目される「地産地消」。大企業が国内回帰する理由
・外国人就活生の「日本語力」約8割は「ビジネスレベル以上」、英語力も約3割
・IT化が加速する自動車を縁の下で支える日本の高度なアナログ技術
・GSユアサ、トルコのバッテリー大手に出資
・大阪発のIoTベンチャー投資ファンドに住宅、電鉄、機械の大企業が出資する理由
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク