中国:ビール業界は「量より質」へ、高級品市場の競争激化

2015年7月16日 08:40

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記事提供元:フィスコ


*08:40JST 中国:ビール業界は「量より質」へ、高級品市場の競争激化
中国のビール業界で、各メーカーが「量より質」を追求するスタンスを強めている。
夏商戦が本格化するなか、青島ビール(168/HK)は今年6月、ハイエンド商品の白ビールを投入。華潤創業(291/HK)傘下の雪花ビールも、白ビールの商品化が大詰めを迎えているもようだ。京華日報が14日付で伝えた。
白ビールは“貴族のビール”とも呼ばれる。中国では大手他社に先駆けて、北京
燕京ビール(000729/SZ)が2013年に販売を開始した。足元の販売価格は、アリババ傘
下のオンライン通販サイト「天猫(Tモール)」で、12缶入りの1ケースが199人民元
(約3960円)。青島ビールや雪花ビールの参入を受け、高価格帯商品の白ビール市場
でも競争の激化は必至だ。
薄利多売戦略が特徴だった中国ビール業界は転換期に差し掛かっている。中国酒
業協会の何勇・副秘書長は、「ビール1缶当たりの利益が0.08人民元(約1.6円)程度
というのは業界の常識だが、人件費や販売費が上昇するなかでメーカーは戦略の転換
を迫られた」と話す。
さらに拍車をかけたのは、国内ビール市場の縮小だ。統計によれば、14年通年の
生産量は、中国全体で前年比0.96%減の4922万キロリットルにとどまっている。ここ
10年間で初めて前年割れを強いられた格好だ。消費者嗜好の変化に合わせ、高価格帯
商品の投入で収益力を向上させる戦略への転換を余儀なくされている。
ただ、白ビールの国内販売ランキングでは、ドイツのエッティンガー、フランス
のクローネンブルグ、デンマークのカールスバーグといった輸入品が上位を独占。国
内メーカーが歩み始めた「高級化」への道のりも決して平坦ではないようだ。

【亜州IR】《ZN》

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