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60代の「働きたい」人の3割は働いていない
超高齢社会が進行するなか、定年後もシニア層のスキルや経験を生かして働き続けられる社会づくりは極めて重要である。電通総研では、日本の今とこれからの働き方を研究・提言する、「□×働く」スタディーの「女性×働く」に続く第2弾として、「シニア×働く」調査を実施した。この調査では、50代後半に就労経験のある60~69歳の2,600名の男女を対象に仕事や働くことへの意識や満足度を調査した。
調査結果では、60代の半数以上が働きたいと思っているものの、その約3割が働いておらず、特に60代後半では働きたい人の約半数が働いていないことがわかった。一方で、働きたくない60代の4人に1人が働いている。また、現在働いている人の働き方に対する満足度は高くなっているが、シニア層は仕事に大きな期待をせず、「働けるだけで満足」という気持ちを持つ人もおよそ半数いることがわかった。
まず、50代後半に働いていた60代男女2,600名のうち、「定年退職」を経験した人は、男性の約8割、女性の約4割だった。定年退職年齢は男女とも平均60~61歳だった。定年退職経験者に、定年後の仕事継続状況を聞いたところ、男性の約72%、女性の約55%が定年後も働くことを継続している。
男性は60代前半・後半にかかわらず7割以上が定年後も仕事を継続し、男性にとっては、一回「定年」しても、働き続けることが常態化しつつあるとした。また、定年後引き続き働いている人のうち、過半数(56.6%)が「再雇用契約をして同じ会社やグループ会社」で働いているようだ。
また、男性60代前半の約3割は「無職」であるが、60代後半には63.5%と無職率が倍増する。女性も同様に、「無職」は12.6%から22.3%に、「専業主婦」は32.8%から49.1%へと増加する。この結果、働いている女性の割合は60代前半の54.6%から60代後半の28.6%へとほぼ半減する。
60代男女に現在の職業について聞いたところ、性別や年齢(60代前半と後半)で大きく異なっている。男性60代前半は、働いている人のうち「正社員」が46.7%で最も多く、以下「契約社員・嘱託社員」(31.7%)、「アルバイト・パートタイム」(14.0%)が続く。しかし60代後半になると、「正社員」は約2割(21.1%)、「契約社員・嘱託社員」は27.0%になり、「アルバイト・パートタイム」が33.8%となる。一方、女性は60代前半・後半での変化はあまりみられず、働いている人の約7割弱(67.1%)が「アルバイト・パート」となった。
そして、「現在、働きたい」と思っているかどうかでは、男性の57.2%、女性の54.0%が「働きたい」と回答している。性年代別にみると、男女とも60代前半は「働きたい」が約6割。60代後半になると「働きたい」人が減少し、「働きたくない」人が増加する。特に女性60代後半は「働きたくない」が過半数(51.7%)となる。
就労希望と就業状況をみてみると、「働きたい」と思っている60代男女の65.6%は希望どおり働いているが、34.4%は「働きたい」と思っているものの「働いていない」。また、「現在働きたくない」と思っている人の4人に1人は働いている。
60代前半・後半に分けてみてみると、男性60代前半で「働きたくない」人のうち、約半数(47.6%)が「働いている」。一方、「働きたい」と希望しつつも働いていない人の割合は、男性60代前半は15.1%であるが、60代後半は42.2%となる。男性60代後半で希望どおりに働けていない様子がうかがえるとした。 (編集担当:慶尾六郎)
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