JAMSTEC、台風発生を2週間前に予測できることを実証

2015年7月1日 13:23

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観測(左)と8月15日開始のシミュレーション(右)でのフィリピン東方海上(東経120-150度)の対流活動の時系列。(海洋研究開発機構の発表資料より)

観測(左)と8月15日開始のシミュレーション(右)でのフィリピン東方海上(東経120-150度)の対流活動の時系列。(海洋研究開発機構の発表資料より)[写真拡大]

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の中野満寿男特任研究員らによる研究グループは、地球全体の雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像モデル「NICAM」をスーパーコンピュータ「京」で実行し、約2週間先の台風発生予測が可能であることを実証した。

 台風の発生は、インド洋で発生した巨大な積乱雲群が赤道に沿って東に進む大気変動(MJO)や、北進する大気変動(BSISO)と関連があり、これらを精度よく予測することが台風の予測にも繋がる。

 本研究グループは、平成26年に雲・雨・雪の生成や落下をシミュレーションするプログラムNICAMを開発しており、MJOをきわめて高い精度で予測できることを示している。さらに今回の研究では、BSISOについてもシミュレーションすることで台風発生の予測を行った。その結果、雲の効果を直接計算するNICAMを用いてBSISOを精度よく再現することで、台風発生を2週間前から予測できることを実証することに成功した。

 今後は、NICAMを用いることで地球温暖化時の台風の発生数なども、より精度よく求めることができるようになると期待されている。

 この研究内容は、米国の地球物理学専門雑誌「Geophysical Research Letters」オンライン版(1月20日付)に掲載された。

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