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安保法案、「審議するほど問題点」「否定的な世論も大きくなっている」民主・枝野氏
民主党の枝野幸男幹事長は24日午後の記者会見で、安保法案について「審議すればするほど問題点が明らかになり、国民の否定的な世論も大きくなっている」との認識を示したうえで、延長国会では「審議の中で問題点をさらに詰めていきたい」と語った。
また、当初指摘していた政府の法案提出の問題を改めて指摘した。枝野幹事長は「政府が11本の法案を2本にまとめて提出していることが問われている」と改めて問題視し「11本の中には民主党も必要だと思っている部分も、若干の修正をすればよいという部分もある」とした。そのうえで「法案は整理して(政府が)出し直すべき」との考えを示した。
一方、憲法学者や国際政治学者ら学者70人が呼びかけ設立した立憲デモクラシーの会はこの日、記者会見し、安保関連法案の撤回を求める声明を発表した。
声明は「政府の法案が集団的自衛権の行使を容認する点、外国軍隊の武力行使と自衛隊活動の一体化をもたらす点で日本国憲法に明確に違反」としている。そのうえで「憲法違反の法案を成立させることは立憲主義に基づく民主政治を根底から覆しかねない」と撤回を求めた。
憲法学者らは「憲法9条の下で武力行使が許されるのは、個別的自衛権の行使、すなわち日本に対する急迫不正の侵害があり、これを排除するためにほかの適当な手段がない場合に限られる。しかも、その場合にも必要最小限度の実力行使にとどまらなければならない。この憲法解釈は、1954年の自衛隊創設以来、政府見解において変わることなく維持されてきた。集団的自衛権の行使には憲法9条の改正が不可欠であることも、繰り返し政府によって表明されてきた」としている。
また、政府の論理には論理的整合性が欠如しているとした。「個別的自衛権の行使のみが憲法上認められるという解釈と集団的自衛権の行使が(限定的であれ)認められるという解釈とを、同じ論拠の上に成立させることはできない。自国を防衛するための個別的自衛権と他国を防衛するための集団的自衛権とは本質を異にするものだ」とした。
また政府が砂川事件最高裁判決を根拠に集団的自衛権の合憲性を主張する向きについても「砂川事件は駐留米軍が憲法9条2項の禁ずる戦力に該当するかが争われた事件で、この裁判では日本の集団的自衛権は全く争点となっていない。最高裁判決の先例としての価値は具体的争点を基に語られるべきものであり、同判決が日本の集団的自衛権行使について判断しているとの主張は牽強付会」と反論した。
あわせて、安倍晋三総理が米国上下両院合同会議で安保法案を今年8月までに成立させると演説したことについても「対米公約ともとれる発言を米議会で行った。閣議決定さえされていない段階でのこのような発言は唯一の立法機関たる国会の権威を損ない、国民主権をないがしろにするもの」と立憲主義から大問題と指摘した。
延長国会では、こうした専門家らの意見も踏まえ、野党側から質問がなされることは当然で、これに政府が論理の一貫性をもって、明確に、分かり易く答えていくことができるかどうか、また政府の説明を裏付ける法的根拠も求められることになる。(編集担当:森高龍二)
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