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ASEAN市場の拡大にともなって、期待が高まるタイ・パタヤのレジャー産業
タイ東部にあるチョンブリー県の西海岸に位置するパタヤは、もともとはタイ湾に面する小さな漁村だったが、1960年代にリゾートとして開発整備された[写真拡大]
今年12月末に行われる東南アジア諸国連合の経済統合を控え、ASEAN地域への注目度が俄然、高まっている。そんな中、日本企業のASEAN市場への進出も加速しはじめた。
中でもタイでは、インフラが整備されていることや、法人税免除も一部適用されることなどから、直接投資が活発に行われている。諸外国の企業がこぞって進出競争を繰り広げる中、日本企業も自動車や製造業を中心にタイに拠点を構える会社が急増しており、現在では6万人近い邦人が長期滞在しているという。
それに連れて、話題になっているのがタイ各地の不動産価格の上昇だ。インドシナ半島のうち、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムの4カ国を結ぶ東西経済回廊や、インドシナ半島南部のメコン圏をつなぐ南部経済回廊の中央に位置することからも、タイはASEAN市場のハブとして非常に重要な役割を担っており、ASEAN経済共同体(AEC)発足後の飛躍的な成長が期待され、不動産価値のさらなる上昇が見込まれている。
そんなタイの不動産ブームの中、首都バンコクに次いで人気を集めているのが世界的なリゾート地・パタヤだ。バンコクからおよそ160km、タイ東部にあるチョンブリー県の西海岸に位置するパタヤは、もともとはタイ湾に面する小さな漁村だったが、1960年代にリゾートとして開発整備されて以来、40年以上にわたって世界中の観光客に愛されて続けている、アジア屈指のビーチ・リゾートだ。
パタヤ人気の理由は、大きく2つ考えられる。まず1つめは、首都バンコクから車で約2時間というアクセスの良さだ。さらにスワンナプーム国際空港からならわずか1時間あまり。つまり、たとえ短い滞在期間でも、移動時間を気にせずにバンコクの観光とセットで訪れることができるのだ。さらに今後は、バンコク市内や周辺各地に点在している諸外国の企業の滞在員たちが、休日に気軽にリフレッシュする場にも活用されるだろう。
パタヤ人気の2つめの理由は、スポーツ・アクティビティが豊富ということだ。とくにマリンスポーツはアジア屈指のラインナップで、パラセイリングやバナナボートなどの基本的なものから、ボートクルージングなどの本格的なものまで揃っている。
日本からも、ヤマハ発動機<7272>が今年の4月からこのパタヤビーチ南に位置するマリーナ「オーシャンマリーナ」で「Sea-Style(シースタイル)」の運営をスタートさせている。「シースタイル」とは、国内のボート免許保有者がボートを購入しなくてもレンタルで気軽にボーディングを楽しめることを目的に同社が発足させた会員制マリンクラブだ。
発足以来10年にわたって着実に規模を拡大しており、現在では会員数17,600名、国内約140のマリーナと提携し、クラブ艇約300隻が稼動している。ヤマハではこれまでボートに興味のなかった人にまで認知を広げ、新規会員を獲得することにも意欲を見せている。
マリンスポーツだけでなく、これから先、タイ及びASEAN地域ではレジャー産業全般の伸びが期待されている。関連する日本企業がこの大きな波にどれだけ乗ることができるだろうか。
帝国データバンクの調査によると、2014年現在でタイに進出している日本のサービス業は、綜合警備保障株式会社や、インターネット広告の株式会社インタースペースなどをはじめとする293社。日本の製造業の技術や信頼は世界的に浸透しているが、日本の企業精神や彼らが提供するサービスの質の高さや細やかさは、まだまだ認知されているとは言いがたい。
ASEAN地域への日本的サービスの進出は、経済的な利益をもたらすだけでなく、日本という国を世界の人々に深く知ってもらう大きなチャンスになるかもしれない。(編集担当:松田渡)
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