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「製造強国」狙う中国、R&D支出拡大も課題が露呈
*14:21JST 「製造強国」狙う中国、R&D支出拡大も課題が露呈
「製造大国」から「製造強国」への転換を狙う中国で、研究開発(R&D)経費の支出が拡大し続けている。R&D支出の対GDP比は2014年に、2.1%にまで上昇した。ただ、企業によるR&D支出や、製品化・事業化率、コア技術の海外依存度などでは、先進諸国と比べ、依然として大きな開きがある。企業観察報が8日、中国工業経済聯合会の李毅中・会長(前工業情報化部部長)の話を引用する形で報じた。
中国企業のR&D支出は低水準にとどまっている。R&D支出の対売上高比率は、一定規模を満たす製造業でわずか0.9%。外国企業の一般的な水準(2~3%)を大きく下回っている状況だ。R&Dの優等生とされている国内グローバル企業でも、海外同業のレベルに届いていない。14年に国際出願の総数が世界最多を記録した華為技術(ファーウェイ)のR&D支出対売上高比率は8.9%で、14%台に達しているシスコシステムズやマイクロソフトに5ポイント以上の差を付けられた。自動車産業では、東風汽車の2.1%に対し、トヨタ自動車(7203/東証)は3.6%、フォルクスワーゲンは5.1%と開きが大きい。
R&D成果の製品化・事業化率の低さも目立つ。中国で製品化・事業化率は30%に届いていないのが現状だ。一方、先進国では通常、その比率が60~70%で推移しているという。
さらに、コア技術を海外に依存している深刻な実態も、データで裏付けられている。先進国の海外技術依存度はおよそ30%。それに対して中国では50~60%に上り、新製品開発に限った場合は70%にも達する。重要部品や素材は80%以上。ハイエンドICのシステム・ベース・チップ (SBC)に至っては、ほぼすべて輸入に頼らざるを得ない状況だ。
こうした現状を踏まえ、中国政府はR&D支出の拡大、コア技術力の向上を推し進める姿勢を強めている。5月に発表された「中国製造2025」では、企業のR&D支出対売上高比率を20年までに1.26%、25年までに1.68%に引き上げることを目標に掲げた。また、コア技術の「国内自給率」に関しては、20年までに40%、25年までには70%に向上させる方針を打ち出している。
【亜州IR】《ZN》
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