ドイツ国債は徐々に落ち着くだろう

2015年6月8日 08:00

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記事提供元:フィスコ


*08:00JST ドイツ国債は徐々に落ち着くだろう
ドイツ国債市場が大変な騒ぎとなっている。4月には「0.049%」まで低下していた10年債の金利が、短期間で一時1%(0.1%ではない)前後まで急騰した(国債価格は下落)。金利は限りなくゼロに近づきマイナス金利になるともみられていた状況からの、予想外の急上昇で市場はパニックに陥った。
 金利が跳ね上がったのは、欧州のインフレ指標に底打ちの兆しが出てきたことと、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が「高いボラティリティに慣れるべき」として金利の上昇を容認するような発言をしたことが要因とされる。
 しかし、このような光景は日本人には既視感(デジャヴ)がある。日本国債も日銀の異次元緩和が始まった直後に同じように金利が大きく下がった後、急騰した場面があった。国債市場の流動性が低下したところで、「量的緩和が常態化にまだ慣れていない」市場参加者のパニックによって市場がハイボラティリティになったところはよく似ているといえよう。
 ドイツ国債の金利が低下してきた要因は、欧州のデフレ懸念、ギリシャ危機の深刻化が背景にあるが、これらは依然として解決の道筋は見えていない。ギリシャは言わずもがな、インフレ指標が若干上向いたとはいえ、欧州全体の失業率は20%を超え、力強くインフレ率が上がって行くような状況には程遠い。
 極めつけは、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和がデフレ懸念が払拭されるまで今後も強力に推進されることだ(場合によってはQE2が必要となろう)。日本においては日銀が淡々と量的緩和を推進することによって市場は落ち着きを取り戻し、長期金利は再び低下した。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和は規模的にドイツ国債を中心に実行せざるを得ない。ドイツの長期金利もECBが淡々とドイツ国債を買っていくことで落ち着きを取り戻すだろう。《YU》

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