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【インタビュー】今、“大人のための服”にしか可能性を感じていない――岩谷俊和が語る 新生「トゥービーシック」
設立13年を迎えた三陽商会の婦人服ブランド「トゥービーシック」が2015秋冬、「ドレスキャンプ」デザイナーの岩谷俊和氏をディレクターに迎え、新しいスタートを切る。よりエレガントに、よりシックにシフトした「トゥービーシック」の魅力について、また、意外性をもって受け止められたミセスブランドへの挑戦について、岩谷氏自身に話を聞いた。
――今回のディレクションの大きなポイントは何ですか?ドレスの印象がとても強かったのですが。
“よりエレガンスであること”です。よくも悪くも子どもっぽくなりすぎない、というところですね。
ドレスの型数自体はそんなに増やしていませんが、装飾のあり方だったり、プリント柄のものを増やしているので、その点で際立って見えているかもしれません。
――リブランディングを手がけられたのは初めてですが、これまでと何かアプローチは違いましたか?
リブランディングという意識は、三陽商会さんにも私にもそんなになくて。もともとあるブランドのテイストをよりいい形で表現するということを一番に意識しました。このブランドをどうディレクションしていくかをフラットにとらえて、現状あるものと、変化させていくもの、そして今後目指していくものを共通認識を持ちながら進めていきました。
――今年で設立13年となるブランドだけに、既存のファンも多くいらっしゃいます。
まず今いらっしゃる顧客の方が嫌だなって思われることはしないのが第一前提ですね。それでいて、その方々から見てもフレッシュに見えるもの、好きだって感じてくれるものは何だろう?と思い描きながらディレクションしました。
――三陽商会さんと取り組まれていかがでしたか?
とてもやりやすかったです。そして、すべてにおいて真面目ですね。真面目なことっていいことだと思っているんです。例えば今すぐ「いいもの作りましょう」ってなっても、普通はできませんよね。工場のあり方だったり、素材の選び方だったり、それから通常だと避けられてしまうような細かい品質管理まで。ずっと真面目に取り組んできたからできることですし、そこが強みなんだと思います。
――百貨店向けブランドを初めて手がけましたが、難しさはありましたか?
大人に向けたブランドですし、ブランド自体に個性を求められているという点で、逆に一番やりやすかったといえます。これが若者向けの低価格ラインになると、世の中にすでにあるものの真似し合いになってしまうでしょうから。
トレンドについていえば、その時どきで自然に取り入れるものですし、無理やり入れるものではないと思っています。顧客に向き合いながら、アイテム一点一点に集中できる感覚に近いです。
岩谷氏が初ディレクションを行った2015秋冬コレクションは、'50年代の米国NYが舞台。Iラインのチュニックドレスや分量感のあるフレアスカートなど、クラシカルなエレガンスを提案している。
――ミセスゾーンの活性化につなげたいとおっしゃっていますね。
そこ以外に伸びしろってないなって思っています。今のままだと若い人向けのビジネスは崩壊してしまう気がしています。安くてそれなりに素敵なものは山のようにあるけれど、今は、大人のための、大人がちゃんと満足できるものにしか可能性を感じていません。
――ご自身のブランド「ドレスキャンプ」に共通するところはありますか?
世の中がそっちを向いているからといって、そっちを向いていないということですね。オリジナリティーがあるということです。
――今後「トゥービーシック」でやってみたいことありますか?
今後というよりは、季節だったり、その時その時でフレッシュに見えるものを常にやっていくということですね。次は春夏なので、より柄物も増えるでしょうし、カラフルなコレクションになると思います。
――最後に、岩谷さんにとって「大人のシック」とは?
一言で言うと、エレガンスです。シーズンによって、エレガンスのあり方やムードは変わっていくのだと思いますが、共通しているのは、大人が幸せでいられる服です。
同ブランドでも初めてだという日本人モデル(小泉深雪さん)を起用。「外国人モデルさんであればすんなりと格好いいものができてしまうけど、そこをあえて日本人モデルさんにすることの面白さがあると思ったんです」(岩谷氏)
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