(中国)コンビニ業界で注目の「オムニチャネル」、日系勢は静観

2015年5月20日 13:30

印刷

記事提供元:フィスコ


*13:30JST (中国)コンビニ業界で注目の「オムニチャネル」、日系勢は静観
モバイル決済サービスの普及につれて中国のコンビニ業界でも、「オムニチャネル」が注目ワードとなっている。「あらゆる販売経路」といった意味で、店舗での販売とインターネットの通信販売を組み合わせて、消費者がいつでもどこでも欲しい商品を買えるような仕組み指す。しかし日本コンビニ大手は、この流れに慎重姿勢。コンビニの強みは、「即時性のある消費需要に対応できる点」との見方から、ネット通販事業と一線を画す態度。中国事業においては、実店舗販売に引き続き注力する構えという。このほど開催された「2015年中国コンビニ大会」から得た情報として、北京商報が20日付で伝えた。
中国では足元で、インターネット企業によるコンビニ事業への参入が相次いでいる状況。京東商城、アマゾン中国などネット通販大手が相次いで中国資本のコンビニとの提携を発表している。しかし全家便利商店(ファミリーマート)の朱宏涛・事業本部長はこうした動きに懸念を表明。オンラインとオフラインをつなぐ足元のO2O(オムニチャネルの形態の一つである)ブームが収束した後の状況をあらかじめ考慮すべきだ」と語る。「消費者の志向を把握する情報収集の面でO2Oは有益だが、コンビニの武器はやはり商品にある」と説明。「商品力、営業力、開発力がなければ長期的な発展はない」と補足した。
セブン-イレブン(北京)有限公司の福田達也・総経理も実店舗重視の考えを表明。毎年実施している顧客1000人を対象とした調査の結果を紹介し、セブン-イレブンの顧客の60%以上が、弁当などの即時性の高い商品の購入を目的に来店している実態を明らかにした。
青島ミニストップ便利店有限公司の藤本明裕・董事総経理はさらに明確な態度を示す。「中国の電子商取引の発展は非常に速いものの、小売業の最先端を行くコンビニ業界は、ネット通販を導入する必要はない」と言い切った。
ローソン(中国)投資有限公司の三宅示修・総裁も同様の考え。「コンビニが提供する重要な要素は即時性。ネット時代にある現代においてもネット通販がこれに代替することは難しい」と述べた。

【亜州IR】《ZN》

関連記事