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【コラム】政府与党に望む、安保法制の熟議を国会で謙虚に
政府は15日、安全保障法案を国会に提出した。今国会で成立を目指す[写真拡大]
政府は15日、安全保障法案を国会に提出した。今国会で成立を目指す。共産、社民らは「戦争法案だ」と廃案をめざす。法案は後半国会最大争点になる。
安倍晋三総理は14日の臨時閣議で閣議決定後に記者会見し、北朝鮮の弾道ミサイルが日本の大半を射程に入れているとしたうえで、核開発にも懸念を示した。また、海外で邦人がテロ被害にあっていることや10年前に比べスクランブル発進が7倍に増えているなど、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わってきたため、万一に備えた法整備が必要で、日米同盟強化は日本への攻撃の抑止力を高めることになると強調し、安保法制見直しに理解を求めた。
しかし、戦後70年の安全保障に対する日本の歩みを大転換することにもなりかねないことや、憲法9条(戦争の放棄)に直接かかわる法案内容だけに、政府・与党には、国会での議論で国民の不安や懸念を解消する謙虚な姿勢と適切な対応が求められる。何が何でも今国会で成立を図るという強引な姿勢でなく、野党からの疑問に誠意を持って対応し、熟議のうえで、国民の懸念を払拭する説明と必要な法案修正に応じる謙虚さを持って頂きたいものだ。
日本共産党の志位和夫委員長はツイッターで「安倍政権、集団的自衛権行使を具体化する11本の法案を閣議決定。『平和安全法制』を標榜するが、日本の『平和』とも、国民の『安全』とも無縁だ」と安保法制の狙いが米国の立ち位置にあると警告している。
志位委員長は「米国が世界で行う戦争に際して、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、自衛隊が支援参加する『戦争法案』がその正体だ」と批判する。
社会民主党は党HPトップに「『戦争法案』の閣議決定に抗議する」との党声明を掲示した。「国際平和支援法案、平和安全法制整備法案の2法案は昨年7月の『集団的自衛権行使容認』等の閣議決定と、この4月に合意した新日米ガイドラインを法的に担保するもの」とし「『平和』や『安全』という名称とは裏腹に、戦争をするための『戦争法案』というべき内容」と警鐘を鳴らした。
そのうえで「安倍政権の暴挙に対し抗議し撤回を求める」とするとともに「今回の2法案は平和憲法下のわが国の基本政策を180度転換し、戦争を放棄した平和国家日本のあり方を根本から変えるものであり、とうてい認めることはできない。戦争に向けてひた走る自公政権の暴走を止めるために、院内外の闘いと深く連帯して全力で取り組む」と廃案へ向け国会内外で運動を広げるとした。福島みずほ副党首は「違憲の法案でおかしい。断固抗議。廃案しかありません」とツイート。
ことの始まりは、第2次安倍内閣発足直後に安倍総理が訪米し、オバマ大統領と会談した中で、集団的自衛権の行使見直しを検討していると安倍総理が伝えた時から今日の法案に向け、安倍政権は環境づくりを図ってきた。
そして、さきの米国上下両院合同会議での演説で安保法制の見直しを「この夏までに成就させる」と公言した。国会における与党の絶対的多数の議席を背景とした総理の自信が見える。
総理は記者団から法案成立後、アメリカを含む有志連合が行っているISIL、イスラム国の掃討作戦への後方支援を行うことを考えているのかと問われ「我々がここで後方支援をするということはありません」と断言した。
総理は「これははっきり申し上げておきたい。今まで行っている難民や避難民に対する食料支援や医療支援等、大変、今感謝されている。こうした非軍事的な活動を引き続き行っていくことになるのだろうと、このように思う」と述べた。
また「海外派兵が一般に許されないという従来からの原則も変わらない。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、今後とも決してない。そのことも明確にしておきたい」と語った。
国会論戦で特に重要なことは個別具体のケースに対し、どうような解釈、どのような判断を政府が法文の下で行い得るのか、あるいは行えないのかを政府答弁としてはっきり引き出すことだ。拡大解釈ができる表現なら、これを修正することが必要だ。
安倍総理は集団的自衛権については「私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている。そして、その危機を排除するために他に適当な手段がない。なおかつ必要最小限の範囲を超えてはならない。この3つの要件による厳格な歯止めを法律案の中にしっかりと定めた。さらに、国会の承認が必要となることは言うまでもない。極めて限定的に集団的自衛権を行使できることとした」と述べた。
安倍総理は「アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか。漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方にはっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にあり得ません。新たな日米合意の中にもはっきりと書き込んでいます。日本が武力を行使するのは日本国民を守るため。これは日本とアメリカの共通認識であります」と。政府はそれでも「戦争法案だ」といわれる懸念を払拭させることが国民に対する責務だと認識し、国会で誠実に対応することが必要だ。(編集担当:森高龍二)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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