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外資勢が中国シルバー産業を注視、介護施設など続々開業へ
*13:48JST 外資勢が中国シルバー産業を注視、介護施設など続々開業へ
外資勢が中国の高齢者向けシルバー産業を注視している。埼玉県さいたま市大宮区に本拠を置くウイズネットは、2010年4月に大連市に合弁会社の大連維斯福祉商務諮詢有限公司を設立。地元政府からの委託を受けて、14年12月23日、大連市で初めて外資系の「デイサービスセンター」を開設した。認知症予防のレクリエーションなどのプログラムを設けたことで内外から注目されている。
このほか上海市では、12年に浦東区で上海凱健華鵬老年服務有限公司が設立された。米国資本系高級老人ホームの凱健国際(Emeritus Senior Living)をチェーン展開。すでに上海で2施設と北京で1施設を経営している。向こう数年内にさらに多くの施設を開業する計画だ。
高齢者向け消費品市場に関しても、高い成長が見込まれる。米日用品大手のキンバリー・クラークは、成人用紙おむつのテレビCMを連日で放映。中国販売ネットワークの拡大にも乗り出した。米製薬会社のアボット・ラボラトリーズも、高齢者向けの栄養食品を開発。中国で販売を強化する構えだ。
中国政府も外資による高齢者介護サービス市場への参入を促す方針だ。営利目的の施設運営やサービス提供を奨励する。関連法規を順守することを条件に、独資、または合資、業務提携の形式で運営することを支援。新たに設立したい地域の地方政府当局にそれぞれ申請させる。受理した計画の可否については、受付から20日以内に書面で回答することを今年1月から各地方政府に義務付けた。
中国工程院院士、中華医学会会長の鐘南山氏はかつて、中国のシルバー産業需要は足元で年間1兆人民元(約19兆2000億円)まで拡大した。しかしながら実際に供給されたのは1000億人民元に過ぎない。深刻な供給不足に陥っている。今後は市場が急ピッチに成長することは疑いない。その市場規模は、20年に2兆人民元、30年に8兆人民元まで伸びるとの見方を示した。
中国の高齢者(60歳以上)総数は14年末時点で2億1200万人に達し、総人口の15.5%を占めた。さらに毎年1000万人のペースで増加しつつある。20年に2億6000万人、25年に3億人、34年に4億人、50年に4億8000万人まで膨らむ見通しだ。
そのなかで、特に問題視されているのは「未富先老」(豊かになる前に高齢化社会に入る)という現実。OECD(経済協力開発機構)に加盟する多くの国をみると、高齢化社会が到来した際の国民1人当たりGDP(国内総生産)が1万米ドルの水準にあった。しかし中国は1000米ドルに達した段階で、すでに高齢化社会を迎えている。高齢者人口の資産構成もバランスが悪い。財産性収入の比率はわずか0.3%に過ぎず、現役世代に多くを頼る構図となっているのが現状だ。
【亜州IR】《ZN》
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