米国の求人広告で増加する要件「デジタルネイティブ」は年齢差別?

2015年5月6日 19:22

印刷

記事提供元:スラド

米国では、求人広告に「デジタルネイティブ」であることを要件として記載する企業が増えているそうだ(Fortuneの記事本家/.)。

米雇用機会均等委員会(EEOC)では「大学生」「新卒」「若手」などの表現を使うことが、40歳以上の人に対する年齢を理由とした雇用差別を禁じる年齢差別禁止法(ADEA)に抵触するとの見解を示している。「デジタルネイティブ」は、こういった制限を迂回して若手を雇用しようとする意図があるとみられ、雇用関係を専門とする弁護士からは問題が多いとする意見も出ているという。ただし、言葉の意味を深く考えずにデジタルネイティブと記載している雇用担当者もいるようだ。

「Digital Native」という言葉は、2001年に出版されたMarc Prenskyの著書「Digital Natives, Digital Immigrants」で初めて使われたもので、コンピューターやインターネットのある世界で育ってきた世代を指すとされる。ただし、あまりはっきりとした定義ではないため「テクノロジーやソーシャルメディアになじんでいる人々」といった程度の認識で使用されることも多いという。

(続く...)たとえば、Panasonicのマーケティンググループマネージャー募集広告では、「デジタルネイティブ」であることを求める一方で、プロフェッショナルとして少なくとも10年の現場経験、5年のマネージメント経験、5年のデジタル経験、可能であればMBA取得者などとしているとのこと。35歳ぐらいまでをデジタルネイティブ世代とすれば、これだけの経験を積んだ人を見つけるのは困難だろう。また、Fortune誌が問い合わせた直後に求人広告を取り下げた企業もあるとのことで、この言葉が年齢差別にあたる可能性があるとは考えずに使用していた可能性もある。

なお、求人広告で「デジタルネイティブ」という言葉を使用することが差別に当たるかどうか、EEOCではまだ判断していないという。EEOCが調査を開始するには誰かの訴えが必要だが、まだ訴えは1件もないために動きようがないとのことだ。 スラッシュドットのコメントを読む | デベロッパーセクション | ビジネス | デベロッパー | アメリカ合衆国 | Digital

 関連ストーリー:
求人スパム、どう対処している? 2015年05月03日
米当局のネット監視をリークしたスノーデン氏、米国の中高年には嫌われる 2015年04月28日
デジタルネイティブ世代も電子書籍より紙の本を好む 2015年02月28日
古いプログラミング言語が滅びない理由は? 2014年09月23日
米国で「新卒のみを対象とした求人」は違法であるという議論が起こる 2014年06月24日
Google従業員の性別・人種別構成、目標とする多様性には遠い 2014年06月01日
30代ITエンジニアは優秀でも転職しにくい? 2013年10月09日
40歳でプログラマーになったら 2013年05月12日
アプリ開発経験のある学生を優先採用するIT企業 2012年12月05日
シリコンバレーに残る年齢への偏見 2012年11月30日
ソフトウェアエンジニアの消費期限は15年、生き残りたければ学び続けるしかない 2012年11月20日
ITスキルを持ったシニアの働き口は? 2012年11月11日
中高年プログラマーの賞味期限とは 2012年11月07日
Googleでは40歳を超えたら年寄り扱い? 2010年06月25日
米国の新卒、職がみつけられずに母校を訴える 2009年08月06日

 

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連記事