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【コラム 山口利昭】議決権行使基準の厳格化は「株主との対話」を促進させる
【4月24日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
昨日(4月21日)日弁連ホールにおいて「社外取締役に対する期待と『社外取締役ガイドライン』を活用した職務執行」と題するイベントが開催され、私は(基調講演ではなく)パネルディスカッションのほうに登壇させていただきました。パネリストとしてご一緒させていただいた大和住銀投信投資顧問(株)執行役員の藏本祐嗣氏のご発言は、上場会社が現時点にコーポレートガバナンス・コードへの対応を考えるにあたり、とても有益な内容だったので、私も非常に勉強になりました。やっぱり運用会社が企業の中長期成長のためにどこに着目しているのかを知ることは大切ですね。
ところで藏本氏がパネルディスカッションの冒頭「山口先生のブログで以前、私どもの会社の議決権行使基準を紹介していただき、高い評価をいただいた。先日の打ち合わせの際、そのことを山口先生にお伝えしたところ、完全に忘れておられたようで、たいへんショックを受けた(笑)」と発言されました。昨夜、ブログを調べてみたところ、こちらのエントリー「投資運用会社の議決権行使ガイドラインにみる独立役員への期待」(2010年9月21日)だったのですね。たいへん失礼をいたしました
ディスカッションの後半、会場からのご質問で「顧問弁護士の『社外性』要件該当性」というものがありまして、私は(日弁連主催シンポということからということもないのですが)、見た目と実質面を分けてお答えしたのですが、藏本氏は「原則ダメです。ただ、全部ダメというわけではなく、きちんと説明をして、その理由に合理性があると判断すれば承認する、ということもありえます」と回答されました。(おまえ、5年前のブログで同じこと書いとるやないか!)と怒られそうですが、なるほど議決権行使ガイドラインと「株主との対話」とが、このような形で関連するのかと納得いたしました。最近は大手保険会社の議決権行使ガイドラインが厳格化していると報じられていますが、これがどのように株主との対話重視につながるかといえば、藏本氏がおっしゃるように、「原則ダメ」という看板を掲げておいて、対話の回数を増やすとか、対話の内容を高度なものにする、といった方向性をもたせるわけですね。保険会社さんというと、どうしても「政策保有株式」のことが気になっておりましたが、単なるアリバイ工作ではなく(失礼しました)、真剣に対話を促進させようとのお気持ちから、ということだと思います。
さて、コーポレートガバナンス・コードといえば、その実効性担保は株主との対話によるものであり(東証ルールもありますが、その実効性担保は例外的)、ソフトローといわれる所以であります。しかし本当にソフトローで済むのか、会社や取締役の法的責任とは関係ないのか、というと、そんなことはないのでは?と(最近)思うようになりました。そのあたりを、また二つのエントリーで述べていきたいと思います(たぶん、来週くらいです)。【了】
投資運用会社の議決権行使ガイドラインにみる独立役員への期待
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2010/09/post-e514.html
山口利昭(やまぐち・としあき)/山口利昭法律事務所代表弁護士。
大阪府立三国丘高校、大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属(平成2年登録 司法修習所42期)。現在、株式会社ニッセンホールディングス、大東建託株式会社の社外取締役を務める。著書に『法の世界からみた会計監査 弁護士と会計士のわかりあえないミソを考える』 (同文館出版)がある。ブログ「ビジネス法務の部屋」(http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/)より、本人の許可を経て転載。
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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