東工大、液晶性を持つ高性能有機トランジスタ材料の開発に成功

2015年4月14日 22:05

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東京工業大学の半那純一教授・飯野裕明准教授が開発した液晶性有機トランジスタ用材料「Ph-BTBT-10」の化学構造を示す図(東京工業大学の発表資料より)

東京工業大学の半那純一教授・飯野裕明准教授が開発した液晶性有機トランジスタ用材料「Ph-BTBT-10」の化学構造を示す図(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京工業大学の半那純一教授・飯野裕明准教授らは、液晶性を付与した高性能な有機トランジスタ材料の開発に成功した。

 近年、有機半導体を用いた電子デバイスの開発が進み、液晶や有機ELディスプレー、電子ペーパー等の画像表示を駆動するアクティブマトリックスやRFICタグなどへの応用を目的として有機トランジスタの開発が急ピッチで進められている。

 今回の研究では、液晶性をトランジスタ材料に付与することにより、低分子系材料の課題であった成膜性、耐熱性の改善を実現し、酸化物半導体に匹敵する10cm2/Vsを超える高移動度を実現する高性能な液晶性有機トランジスタ材料(Ph-BTBT-10)を開発することに成功した。

 この物質は、「結晶にいかに揺らぎを与えて、高い秩序性を持つスメクチック液晶相を発現させるか」という考えに基づいて設計・開発されており、実際に142℃から210℃の温度領域で、結晶相にきわめて近いスメクチックE相を発現することが分かった。

 今後は、将来、実用化が期待されるプリンテッドエレクトロニクス用半導体の材料基盤技術として応用できると期待されている。

 なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。

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