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北大、診断が困難な線維筋痛症候群の鑑別方法を開発
健常人(黒丸)、線維筋痛症候群(四角)、関節リウマチ(三角)、脊椎関節炎(逆三角)の患者の末梢血中に存在するCD4陽性MAIT細胞の存在割合を調べたもの。MAIT細胞はT リンパ球の一種であり、その全体に対する割合を%で示した。線維筋痛症候群では健常人に比してその割合が有為に減少していることがわかる(**で印をつけた部分)。(北海道大学の発表資料より)[写真拡大]
北海道大学は、慢性全身性疼痛を特徴とする原因不明の難病「線維筋痛症候群」を診断する方法を開発した。
線維筋痛症候群は、慢性全身性疼痛・疲労・睡眠障害などを特徴とする原因不明の難病で、日本では約200万人の患者がいるとされている。しかし、現在病院等で一般的に使われている検査データには何の異常も見られないため、診断が非常に困難であるという課題があった。
今回の研究では、MAIT(マイト)細胞の末梢血中での存在割合や、この細胞の表面上に存在する様々な抗原発現量を解析した。その結果、線維筋痛症候群では健常人に比べて末梢血中のMAITにおけるCD4陽性細胞の割合が有意に減少していることが分かった。また、この時MAIT細胞表面上に発現している抗原を解析し、健常人・線維筋痛症候群・脊椎関節炎・関節リウマチを鑑別できる10種類の抗原を同定することに成功した。
これらの結果からMAIT細胞上のある種の抗原発現量を解析することで、線維筋痛症候群と健常状態を区別でき、類似疾患である脊椎関節炎、関節リウマチと線維筋痛症候群を鑑別できることが分かった。
今後は、線維筋痛症候群に対して新たな客観的診断基準を付与することで、早期診断を可能とし、患者のQOL向上に寄与すると期待されている。
なお、この内容は「PLOS ONE」に掲載された。
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