京急に続いて西武も。日台鉄道提携ラッシュ

2015年4月1日 07:16

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記事提供元:エコノミックニュース

2014年下半期には「台北 国立故宮博物院」の宝物が東京・福岡で公開展示され、観光を通じた日本・台湾の文化交流も発展している。こうした機運を活かして、日台の鉄道企業が協力して互いに観光客拡大を進められるとの判断が、提携ラッシュの背景にある。

2014年下半期には「台北 国立故宮博物院」の宝物が東京・福岡で公開展示され、観光を通じた日本・台湾の文化交流も発展している。こうした機運を活かして、日台の鉄道企業が協力して互いに観光客拡大を進められるとの判断が、提携ラッシュの背景にある。[写真拡大]

 台湾鉄路管理局が日本の鉄道会社と立て続けに提携した。まず2月26日に、京浜急行電鉄<9006>と両者沿線の利用者拡大を目指して「友好鉄道協定」を締結した。続いて3月14日には、西武ホールディングス<9024>と「包括的事業連携に関する友好協定」を、西武鉄道と「姉妹鉄道協定」を、それぞれ締結した。

 こうした提携ラッシュの背景には、日台相互の観光客誘致の促進という狙いがある。日本政府観光局(JNTO)によると、台湾からの訪日客数は2013年が約221万人、14年が約283万人に拡大。一方、台湾観光協会によると、日本からの訪台客数は13年が約143万人、14年が164万人。

 14年2月には、台湾最高峰の玉山と世界文化遺産の富士山が友好山協定を締結している。同年3月には、板橋、日南、大山、平和など、日台に同名駅が32存在することに着目したキャンペーンが開始された。14年下半期には「台北 国立故宮博物院」の宝物が東京・福岡で公開展示され、観光を通じた双方の文化交流も発展している。こうした機運を活かして、日台の鉄道企業が協力して互いに観光客拡大を進められるとの判断が、提携ラッシュの背景にある。

 京浜急行と台湾鉄路はともに1948 年に設立され、互いに河津桜の観光名所を持つなどの沿線における共通点も多い。3月9日~5月末までの予定で、台湾鉄路・京急電鉄の友好提携をデザインしたラッピング列車を京急線内で運行している。

 一方、西武ホールディングスは台湾鉄路とさらに広範な協力を進めようとしている。相互の観光PRでは、提携記念乗車券を日台で販売し、「台湾全域」のPRを日本国内で、また西武鉄道の代表的な観光地である「川越」や「秩父」のPRを台湾全域で促進しようとしている。日台がともに未曽有の大震災を経験したことから、両者は大災害時に相互に物的・人的支援することでも合意した。

 さらに、西武グループの総合力を生かし、4月11日、12日には、西武プリンスドームで「台湾デー」を開催し、台湾の伝統芸能を紹介する。4月13日からは「台湾料理キャンペーン」として、西武鉄道沿線のホテルのレストランなどで台湾メニューを提供する。西武トラベルは、同社店舗内に台湾ブースを設置するなどして「台湾旅行予約キャンペーン」を展開する。すでに具体的な実施計画が決定されており、提携効果は意外と早く出てくるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

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