いわゆる「上場ゴール」を懸念(訂正)

2015年3月30日 15:08

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記事提供元:フィスコ


*15:08JST いわゆる「上場ゴール」を懸念(訂正)
下記のとおり修正します。
(誤)(3903)
(正)<3903>

上場後3月足らずで業績予想を黒字から赤字に大幅修正したgumi<3903>ショックの余震が続いている。gumiショック以前は、昨年末からのIPOラッシュのなか、新規公開した株の初値は公開価格を上回るのは当然で、2倍3倍も当たり前という風潮であった。日銀の異次元緩和による投資マネーが新規公開株に流れ込んでいる面もないではないが、上場時の人気で売買しているのは主に個人投資家だ。gumiは特に社長が「時価総額8兆円」をブチ上げるなどの派手な言動で人気を集めていた。しかし、上場直後とも言ってよい期間に下方修正を出し、下方修正前に「運転資金を金融機関から借り入れしていた」ことを開示、韓国子会社での横領発覚、取締役等も株を売り抜けていたこと等々が分かり個人投資家を大いに失望させた。
 新規公開すれば必ず高値がつく状況が続けば、当然ながら「上場ゴール」へのインセンティブは高くなる。未公開会社に投資しているベンチャーキャピタル(VC)等もこの機を逃さじと上場への圧力を高めるだろう。短期間で資金を集め、高い成長性を演出して上場さえすれば猛烈に儲かることになれば、とにかく上場だけを目指して、その時期を睨んだ事業計画を描き、その後は野となれ花となれで、上場後の高値を一度も抜けない「上場ゴール会社」が続出することになる。今回の件は改めて新規公開株の上場ゴール懸念を高めることになった。
 ただ、新規に上場して来る企業のなかには時流に乗った本物の勢いのある企業があることも間違いない。なにもかもが成長企業とみなすのは間違いだが、なにもかもが成長企業ではないとみなすのも間違いだ。当たり前のことではあるが、投資家は企業の中身と将来の環境変化をみすえ本物と偽物を見抜く目が要求される。gumiについても短期では問題が生じたが、長期的な成長についてはまだ答えが出たわけではない。
 一方、一般投資家の保護のために、東証には上場する会社の「質」と、上場させる「時期」の双方についてより厳しい判断を求めたいものである。《YU》

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