シャープ「IGZO」の無効判決、上告断念

2015年3月22日 13:23

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記事提供元:エコノミックニュース

 シャープ<6753>は3月11日、液晶パネルに使う「IGZO」の商標登録について、知的財産高等裁判所が無効とした判決を精査した結果、最高裁への上告を断念したと発表した。これによりアルファベットによる「IGZO」という名称を液晶パネルにシャープが独占的に使用する権利がなくなった。ただし、これはアルファベットの「IGZO」だけであり、カタカナの「イグゾー」や「イグゾーパネル」、そして「IGZO」に独自のロゴマークに関しての商標登録は完了しており、これらの登録商標をこれから使用するとしている。

 「IGZO」であるが、1985年に科学技術庁無機材研究所の君塚昇氏が、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)から結晶IGZO合成に成功した。IGZOとは酸化物半導体のことであり、使用している原材料名の頭文字からIGZOという名前が生まれた。東京工業大学が科学技術振興機構(JST)の支援事業で行ったために、特許権はJSTが管理しており、シャープはライセンス契約を結び生産をしている。そして、シャープが世界で初めてIGZOの量産化に成功した。液晶ディスプレイ形式の呼称としてIGZOが使用されているが、本来のIGZO技術は半導体デバイス技術であり、液晶パネルのみならず、様々な分野での応用が可能な技術である。

 2011年6月にシャープはIGZOの商標登録を出願した。同年11月に登録が認められたものの、13年7月にJSTが商標登録無効の申立てをおこなう。「商標法は原材料名を商標として登録できないと定めており、IGZOという名称を研究者が自由に使用できなくなる」というものが申立ての理由である。14年3月、特許庁はシャープの出願した商標が無効である判断を下した。これを不服としシャープは同年4月に知的財産高等裁判所へ提訴。そして、15年2月25日に知的財産高等裁判所が「IGZOは原材料名として、シャープの出願時にはすでに広く使われていた」としてシャープの訴えを棄却、「特定の者に独占使用させるのは適当ではない」と判決が下された。

 シャープとしては、アルファベットによる「IGZO」のみ商標登録が認められなかっただけで、業績には特に影響がなく上告を断念した。(編集担当:久保田雄城)

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