関連記事
「日銀関係者」の謎
*08:04JST 「日銀関係者」の謎
先週木曜日(2/12)の午後5時頃、120円台に乗っていたドル円は一瞬で1円50銭も暴落し、日経平均先物も同時に100円以上急落した。
急激な円高・株安の原因は、一部の報道で「日銀関係者の話」として、「追加緩和はさらなる円安を引き起こし消費者マインドに水をさすなど悪影響のほうが大きい」というものが出たためだ。
市場に甚大な影響が出たのは英訳で「BOJ said」と出て、あたかも日銀の公式見解のように伝わったことも要因の一つとも指摘されている。
しかし、日銀の黒田総裁は公の場で繰り返し、「追加緩和の効果は出ている」「デフレを脱却するまで薬はきちんと飲み切らないといけない」「円安は日本にとっては問題を引き起こしていない」などとして、質的・量的緩和を推進する姿勢を示してきた。
そこで、このタイミングで「日銀関係者」の話として、上記のような内容がリークされるのはどういうことなのかと様々な憶測を呼んでいる。
審議委員退任予定の反リフレ派の最後の反抗説や、日銀内の反リフレ派のクーデターなどという穏やかならざる解説も聞かれる。また、3月に地方選を控えて、政府・自民党はこれ以上の円安・物価高が進むと選挙で不利になるとみて現時点での追加緩和は望んでいないとして、この方面の圧力や歩調を合わせる趣旨とみる向きもある。
様々な憶測が飛び交い、為替や日経平均先物は急激に戻したりしているが、「日銀関係者」がどのレベルの誰で、どのような意図で今回の報道内容の発言を行ったのか現時点では謎である。
ただ、これほどまでに市場にインパクトを与えるにもかかわらず、発言者は「日銀幹部」でも「日銀審議委員」でもなく、「日銀関係者」というひどく曖昧な表現となっている。日銀内部の誰かが何らかの意図を持って行ったのは確実であろうが、このような形で市場を大きく揺さぶることは日銀への信頼感を損なうおそれがある。日銀内部の情報管理や情報発信方法には細心の注意を払ってもらいたいものである。
上記報道が出た直後であることから、今週の日銀政策決定会合後の黒田日銀総裁の会見はよりいっそう注目が集まることになった。《YU》
スポンサードリンク