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大幅に変わる日本の「介護」 安心して暮らせる未来はどこに?
2015年は、わが国の高齢者介護にとって大きな転換の年となりそうだ。政府は1月7日、団塊の世代が75歳以上になる25年には、65歳以上の5人に1人にあたる700万人前後が認知症になるという新たな推計を公表し、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の基本的な考え方として「認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」とし、「適時適切な医療・介護の提供」や「認知症の人やその家族の視点の重視」「若年認知症施策の強化」など七つの柱を掲げた。
ところが、その一方で大きな問題となっていることが2つある。一つは介護保険の自己負担率の引き上げだ。制度発足以来、自己負担率はずっと一律1割だったが、今年の8月からは、年間の年金収入が単身で280万円以上、夫婦で359万円以上に該当する場合、従来の1割負担から2割負担に引き上げられる。
さらに大きな波紋を呼びそうなのが、4月に予定されている「特別養護老人ホーム」通称特養の入居条件の改定だ。現在、特養は全国に7752カ所あり、入居している高齢者は全国で約47万人、入居待機者は約40万人に上るとみられている。ただでさえ入居するのが困難であるのに、この春からさらに、新規の入居条件が原則「要介護度3以上」と規定されることで、1割ほどいるとみられる要介護度1や2の高齢者は新規の入居を断念せざるをえなくなるのだ。増大し続ける介護給付費の抑制を図るためとはいえ、高齢者とその家族にとっては厳しい時代の幕開けとなる。
在宅介護の流れが加速する中、急速に関心が高まっているのが「地域包括ケアシステム」と「サービス付き高齢者向け住宅」だ。「地域包括ケアシステム」は、介護を必要とする高齢者でも住み慣れた地域や自宅で安心して長く暮らしていけるように、「医療」「介護」「介護予防」「生活支援」「住まい」という5つのサービスを不自由なく受けられるようにする地域の支援体制のことだ。たとえば千葉県野田市では、元気な高齢者が要介護高齢者のサポートを行うことで現金と交換可能なポイントを付与する「介護支援ボランティア制度」を今年1月から開始する。
また、秋田市北部の飯島、土崎港北、港北の2地区は合同で、医療・介護・福祉関連はもとより、特定非営利活動法人(NPO)やコンビニエンス・ストアなどで多職種ネットワークを形成し、メーリングリストやSNSサイトなどを利用して情報共有を行ったり、勉強会を開催するなど、地域包括ケアシステムの実現に向けて積極的に動き始めている。
サービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ高住」についても、特養の入居条件の改正をはじめ、高齢者が安心して生活できる施設であることや、費用がリーズナブルなところが多いことなどから注目が集まっており、件数もここ数年で飛躍的に増えている。
中でも、住宅大手のパナホームは、サ高住をはじめ、高齢者住宅・施設に力をいれているメーカーとして、これまで延べ1400棟以上もの建設実績をもつことで知られているが、この度、グループ企業であるパナソニック株式会社との連携をさらに強化し、本格的に事業拡大に乗り出した。両社は、2015年1月1日より介護関連事業の名称を「エイジフリー」に統一し、介護関連市場におけるブランドとして展開していく。また、それに伴い「エイジフリー」の認知度向上を図るための共同プロモーションも積極的に行っていくという。
その上で、パナソニックは2018年度までに、サ高住事業の拠点を累計で150拠点の開設を目指し、パナホームは、そのうちの50拠点の建築を目標に掲げている。
住宅をはじめとする関連業界にとっては大きなビジネスチャンスであるとともに、サ高住や介護サービス事業に充実は国家的急務でもある。皆が安心して暮らせる未来のために、企業も地域も団結を深めるときが来ているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)
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