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電子書籍市場をマンガが牽引 講談社が全コミック誌電子化、アマゾンはマンガ誌無料配信
スマートフォン画面の大型化やタブレットPCの普及などを背景に、電子書籍市場は成長を続けている。矢野研究所が昨年9月に発表したレポートによれば、2013年の電子書籍市場は前年度比19.7%増の850億円と 2 ケタ成長。昨年は23.5%増の1,050億円の見込みで、17年度には1,910億円と拡大基調を予測している。
同研究所のレポートでは、「2013年度の電子書籍市場について主なコンテンツ分野別にみると、コミック分野は650億円と市場全体の8割弱を占め、国内の電子書籍市場はコミック分野が牽引している状況にある」としている。そして今月、こうしたコミック勢がさらに攻勢を強めるニュースが2つ発表された。
まず1月5日に発表された、講談社の「全コミック誌電子化」だ。今月はすでに『ヤングマガジン』(5日スタート)、『月刊少年マガジン』(6日スタート)、『週刊少年マガジン』(7日スタート)の3誌を、紙の本誌と同時に配信開始した。今後さらに同社はコミック誌を順次電子化し、今年6月をめどに全コミック誌を電子化する予定だ。
また同社は今月5日に、特設サイトもオープン。このサイトでは、最新号の前号が無料で読めるサービスなどを行い、電子コミックの販売拡大につなげようとしている。
もうひとつのニュースはアマゾンだ。同社は7日、マンガ雑誌が毎号無料で楽しめる新サービス「Kindle無料マンガ雑誌」を開始したと発表した。対象コンテンツとなるのは、『グランドジャンプ』、『マンガボックス』、『漫画アクション』、『コミック乱ツインズ』といったマンガ雑誌で、アマゾンのサイトで入手が可能だ。
中でも同社が目玉にしているのは「地獄先生ぬ~べ~NEO」「怨み屋本舗EVIL HEART」等の人気作を連載する『グランドジャンプ』(集英社刊)だ。同誌の電子化は今回が初めてで、Kindleの独占配信となるからだ。ただし無料配信されるのは1号遅れのコンテンツとなる。
上記の対象コンテンツを一度入手すると、以後は毎号自動的に利用しているスマートフォン、タブレット、PC、Mac、KindleおよびFire端末に届くシステムになっている。無料購読をきっかけに、有料誌やKindle端末等の販売拡大につなげる戦略だ。
他の出版社も今後、コミック誌電子化を加速させるだろう。通勤電車内で散見されるスーツ姿+分厚いコミック誌というミスマッチな姿は、もう見られなくなるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)
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