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【インタビュー】「2018年。3年後のWeb戦略」―プレイド「KARTE」―【後半】
WEB接客を通じて新規顧客が2倍
―カルテの導入実績と効果事例を教えてください。
今はクローズドで25社に導入してもらっています。事例だと、「「fifth」」の件が分かりやすく、新規獲得で208%(+108%)、CVRで140%(+40%)という効果が出ています。面白いところだと、特定のタイミングで挨拶をすると、CVRがあがるという事例もある。悩みやシーンに応じて、チャットや表示切替えなどアプローチ方法が変わっていきます。
これまでのサービスは、履歴から顧客の過去を捕らえることができたが、今の状態はわからなかった。今の悩みを把握し、内容に応じてアプローチを変えることができるのが、「KARTE」です。
―なるほど。確かに新規会員が一番サポートを必要としていますよね。
はい。数値で一番爆発しているのが新規獲得ですね。すでに事例として2倍の数値は出しており、もっとチューニングしていけば4倍ぐらいも行けるはずだと思っています。
WEBサイトってコンテンツの集合体じゃないですか。コンテンツにはそれぞれ届けたいターゲットがいますが、そのターゲットがコンテンツを必ず見るとは限らないわけですよね。届けたい人にコンテンツを届けるだけで、数値は飛躍すると思っています。
―新規獲得というターゲットに新規特典というコンテンツをどうやって届けるのかという話ですね。分かりやすいですね。
普通なら会員登録に注力しても、登録だけに流れて商品購入のCVRが低下したり、全来訪客に訴求することが新規以外のお客様にはノイズに受け取られたりもするのですが、「KARTE」では会員登録率と比例して滞在時間や閲覧PV数はもちろん伸長し、同時に商品購入のCVRも向上するといった実績が出ています。
―新規登録とCVRが比例するのはスゴイですね。ちなみに「KARTE」の料金設定はどうなっているのでしょうか。
現状はMAU(月間利用数)ベースで料金をいただいていますが、「KARTE」の利用ボリュームベースの料金体系も用意していこうか検討しています。使った人が使った分だけ、という形なので、導入のハードルはグっと下がるかなと思っています。
強みは“可視化、UI、スケーラビリティ”
―他にもWEB接客サービスが色々とありますが、「KARTE」の強みを3つのキーワードで教えてもらえないでしょうか。
■キーワード1「お客様を可視化する」
可視化には2つの軸があります。まず「時間軸=リアルタイム」です。
リアルタイムでデータ分析ができるので、今の瞬間のお客様のデータを可視化できます。もう1つは、「使えるデータの幅」です。お客様の属性や過去の履歴はもちろん、行動レベルでお客様を見ることができるので、可視化できる深さが違います。KARTEではこの2つの軸でお客様を可視化し、ウェブ接客を可能にしています。
データベースを汎用的な構造で設計しているので、様々な外部システムと連携することが可能です。例えばクライアントが個別に持っている顧客データや、ソーシャルメディアの行動データ(こんな発言をした人)とも関連付けることができます。
―言語解析までやってしまうのですね。プレイドの技術レベルの高さを感じますね。
メンバーの能力には一番自信がありますね。僕よりも優秀な人間ばかりいますからね(笑)。(取材時に倉橋氏の隣に座る広報の)もちろん飯塚も含めてですよ(笑)。
飯塚氏:サービスの魅力が優秀な人を呼び込んでいるのだと思います。私が声をかけられた時は「KARTE」の構想段階の時でしたが、サービスの中身を聞いて、素直に「面白い」と感じました。その当時、自分でもサービスをやっていましたが、「KARTE」の方を選びました。今はプレイドの広報のほかに、オウンドメディア「「Shopping Tribe」」の運営などをメインにやっていますけど、もともとWEB制作会社にいたので、実は「KARTE」の一番最初のUIは私が作りました(笑)。
■キーワード2「能力を引き出す管理画面」
先ほども話しましたが、サービスの使いやすさはどこにも負けたくないと思っています。そのためには何度でもUIをアップデートしていきます。
■キーワード3「制限のないスケーラビリティ」
実は、「KARTE」はECだけの活用ではなく、資料請求サイトにも使えるし、アプリ運用にも活用できると思っています。また、国産のサービスはコネクト面が弱く、拡張性が低いものが多いので、プロダクトおよびデータの外部連携面についてはかなりの柔軟性を持たせています。
プレイドのウェブサイトに掲げられたメッセージ「ウェブ接客で競争のルールを変える」
変わる競争のルールと3年後のWEB戦略
―「KARTE」が変えてくれる“競争のルール”について具体的に教えてください。
これまでの競争環境と大きく変わるのは、やはり“リアルタイムデータの可視化”の部分ですね。これまでのECは、商品を並べているだけのカタログ型の販売でしたが、
これからはお客様とその状況に合わせたアプローチをして物を販売できる接客型になっていきます。
そして、来訪者に応じてアプローチを変えることで集客効果も改善されます。つまり、接客手法だけではなく集客手法も変わります。よくプロモーションをやっている代理店と話すのですが、彼らが仕掛けるプロモーション施策と一緒に「KARTE」を提供できれば、相乗効果が生まれやすいと思います。
グーグルアナリティクスのように、「サイト構築したら、まず「KARTE」を入れる」。そんな存在になりたいです。
マーケティング分野は、まだ感覚や属人的な要素が強いので、「KARTE」によってマーケティング業務の体系化と中小規模の事業者様への普及に繋がれば良いと思っています。
―2018年、3年後のWEB戦略はどのようになっていると思いますか。
そうですね。まずは、事業者都合や効率主義的な一方的な販売方法から、消費者にとってフレンドリーなアプローチが増えていくはずだと考えています。スマートフォンが普及していけば、WEBの世界がよりパーソナルな環境になっていくので、今までのPCベースのやり方が見直されるだろうし、コンテンツのあり方が大きく変わってくると思っています。
ECの分野で専門性が深まっていくことにより、垂直統合から水平分業にシフトしていくと思っています。例えば、ちょっと前に話題になった「「センシー(SENSY)」」などは在庫を持ちませんが、商品の良さを伝えるプロですよね。
このように、物を作るプロ、情報を広めるプロ、顧客を分析するプロなどレイヤー化が進みビジネスが展開していくのではないかと思います。すでにアメリカでは「MaaS(marketing as a service)」という分野も出てきているらしいです。
弊社のようなサービス事業会社が表に出て行く必要はないと思っていますが、他社にはない価値を深めることでポジショニングを明確にしていかないといけないですね。“「KARTE」は顧客のそばにいる”というポジションにこだわってやっていきたいです。
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【プロフィール】
倉橋健太(くらはし・けんた)
2005年に楽天株式会社に新卒入社。楽天市場におけるWebディレクション、マーケティング、モバイル戦略、広告戦略等、多岐にわたる領域を担当し、楽天市場事業の成長に貢献。独立後、2011年10月に株式会社プレイドを創業。
※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。
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