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【黒澤善行の永田町ウォッチ】第3次安倍内閣が発足
【1月1日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
■海江田民主党代表の代わりに
12月24日、第188特別国会が召集(〜26日)された。
それに先立ち、同日午前の閣議で全閣僚の辞表を取りまとめ、第2次安倍改造内閣は総辞職した。その後に開かれた衆議院本会議で、伊吹前議長の後任に町村信孝・衆議院議員(自民党)を、赤松前副議長の後任に川端達夫・前国対委員長(民主党)が選出された。衆議院議院運営委員長には林幹雄・衆議院議員(自民党)が選出された。
また、衆参両院の本会議で首班指名選挙が行われ、与党多数(衆議院で328票、参議院で135票)により安倍総理が第97代総理大臣に指名された。野党各党は、それぞれの党首に投票した。海江田代表が衆議院選挙で議席を失い辞任した民主党は、来年1月に代表選を行うこととなっているため、岡田代表代行に投票することとなった。
■当初の予定は全閣僚再任
首班指名後、安倍総理は直ちに組閣に着手し、総理大臣親任式と閣僚認証式を経て、第3次安倍内閣を発足させた。今回の閣僚人事では、防衛大臣兼安全保障法制担当大臣に安全保障法制に関する与党協議会の主要メンバーだった中谷元・元防衛庁長官を起用した。その他の閣僚17人と官房副長官、内閣法制局長官、総理補佐官らは再任となった。有村女性活躍担当大臣が所管していた消費者・食品安全担当大臣は、山口沖縄・北方担当大臣に移管された。
安倍総理は、当初、政策の継続性を重視するとともに、緊急経済対策の策定や補正予算案・来年度予算案の編成を急ぐ観点から、全閣僚を再任させる予定だった。しかし、先の臨時国会で、政治とカネをめぐる問題で野党側から政治資金規正法違反にあたるとして追及された江渡前大臣が再任を固辞したため、交代することとなった。
来年1月26日召集予定の通常国会に提出する安全保障関連法案十数本の国会審議や、来年前半に日米防衛協力ガイドラインの再改定が控えており、こうしたことへの影響を懸念してのことのようだ。
初閣議では、経済再生、地方創生、東日本大震災からの復興加速化など7項目からなる第3次安倍内閣の基本方針を決定した。安倍総理は、経済最優先の立場から、アベノミクスの推進に全力を挙げるよう指示した。延期となった消費税率10%への引き上げについては「2017年4月からは確実に引き上げ、経済再生と財政再建の同時実現をめざす」としている。
■経済最優先で政権運営
安倍総理は、新内閣発足を受けての記者会見で、
「内閣の総力を挙げて、総選挙で国民にお約束した政策を一つひとつ実現することに尽きる」「(デフレ脱却、社会保障改革、外交・安全保障など)困難な道のりで、私は全身全霊を傾け、戦後以来の大改革を進めている。賛否は大きく分かれ、激しい抵抗もあるが、内閣が一丸となって政策実現にまい進していく」
と、述べた。
経済最優先で政権運営を行っていくとし、
「アベノミクスの成功を確かなものとしていくのが最大の課題だ。さらに進化させていきたい」
「地方創生への取り組みを本格化させ、女性活躍推進法案の通常国会での早期成立をめざす」
ことを強調した。
消費税率10%への引き上げ延期に関連して「社会保障の充実を可能な限り、予定通り実施する」としつつも、財源不足を理由に社会保障サービスの一時的削減はやむを得ないとの認識を示した。
集団的自衛権行使の限定容認を含む安全保障法制の整備については、「国民の命を断固守り抜く決意は揺らいでいない」「国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備を進めている」「国民の理解を得る努力を続けながら、来年の通常国会で成立を図る」としている。【了】
黒澤善行(くろさわよしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)、『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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