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【黒澤善行の永田町ウォッチ】並行して来年予算案の編成も
【12月18日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
また、景気を下支えするためにも補正予算案と一体で切れ目のない予算執行を進めるべく、来年度予算案の編成も並行して進められている。今月30日にも来年度予算案の前提となる与党税制改正大綱を決定し、来年1月14日に来年度予算案を閣議決定する予定だ。そして、1月下旬に召集される通常国会に、補正予算案と来年度予算案を提出する。また、予算関連法案として、消費税率10%への引き上げ時期を1年半先送りするための税制改正法案も提出する予定だ。
当初、自民党・公明党の税制調査会は、与党税制改正大綱を1月9日に決定することで合意していた。ただ、来年4月12日・26日に統一地方選(都道府県・政令市の首長、地方議員)が控えていることもあり、与党候補を後押しするためにも、遅滞なく執行ができるよう予算の年度内成立は必須との見方が出たため、決定時期を前倒すこととなった。
与党税制改正大綱では、法人実効税率(現在、約35%)の引き下げ幅について焦点となっているほか、2014年末に期限を迎える不動産取得税の軽減特例の延長、ふるさと納税制度の控除上限額の倍増と手続き簡素化のほか、若手世代への資産移転を後押し消費促進・子育て支援の強化を図るための贈与に係る新制度の導入などが検討されている。
贈与関連では、2014年末に期限を迎える住宅資金贈与の非課税枠を最大1500万円に拡大のうえ延長する。また、再生可能エネルギー関連機器の購入費用の贈与を非課税にする「緑の贈与税制度(仮称)」の2015年度から導入される予定だ。さらに、2015年度から3年間、祖父母や親が信託銀行などの金融機関で子や孫の名義で口座開設して結婚・出産・子育て用の資金を一括で預け、子や孫が使用した分の贈与税(1人あたり1000万円まで)が非課税となる制度を2015年度に導入することなども検討されている。
政府・与党は、2月中旬に補正予算を成立させ、年度内に来年度予算と予算関連法を成立させるシナリオを描いている。ただ、予算審議の日程は窮屈なものとなる見通しで、国会審議の行方次第では来年度予算の成立が4月以降にずれ込む可能性もある。
特に、消費税率10%への引き上げ時期を1年半延期するための税制改正法案をめぐって、与野党が対決しかねないからだ。安倍総理は、経済情勢が悪いときに消費税率引き上げを先送りできる景気弾力条項(付則18条)を削除する意向を示しているが、民主党や維新の党などは同条項の削除に強く反対している。
政府・与党は、来年度予算の年度内成立ができなかった場合でも、暫定予算を編成したうえで、4月12日までには成立させる方向で国会審議を進めていきたいとしている。【了】
黒澤善行(くろさわよしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)、『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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