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筑波大、ステロイドホルモンの生合成を促す新しいメカニズムを発見
栄養に応じてステロイドホルモン生合成を促進するセロトニン産生神経の役割を示すモデル図(筑波大学の発表資料より)[写真拡大]
筑波大学の丹羽隆介准教授らによる研究グループは、キイロショウジョウバエを主材料として、ステロイドホルモンの生合成を促す新しいメカニズムを発見した。
ヒトや昆虫など多くの生物は、ステロイドホルモンによって発育や性成熟が誘導される。ステロイドホルモンは適切な時期に適切な量が作られることが大事で、成長期に栄養が十分でなかった場合にはステロイドホルモンの生合成が遅れて成熟が遅くなる。
今回の研究では、キイロショウジョウバエを用いて、幼虫がサナギになるタイミングを調整するメカニズムを調べた。まず、エクジステロイド生合成器官である前胸腺に分布する神経を観察したところ、神経伝達物質であるセロトニンを産生する神経の一部が別の領域に連絡していることを発見した。このセロトニン産生神経は検出することが難しく存在が明らかにされていなかったが、今回の研究で全形態が同定され、研究グループはこれをSE0PGと名付けた。
さらに、このセロトニン産生神経の突起形状は、幼虫の栄養状態によって変化することが分かった。つまり、栄養が豊富な餌で幼虫を飼育すると神経突起がホルモン生合成器官(前胸腺)に神経を連絡させるのに対して、栄養が乏しい餌で飼育した場合には、神経が前胸腺に連絡しなくなった。連絡しない場合、エグジステロイド合成が遅れ、幼虫になるタイミングが遅れる。
今後は、神経突起の形状をどのように変化させていくのかをさらに詳しく調べることで、発育に必要な栄養摂取についての理解が深まると期待されている。
なお、この内容は12月15日に「Nature Communications」に掲載された。
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