NYの視点:ロシア危機を危惧する投資家

2014年12月17日 07:54

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記事提供元:フィスコ


*07:54JST NYの視点:ロシア危機を危惧する投資家

ロシアルーブル安は始まったばかりだと1998年のロシア財政危機の再来を危惧する投資家も少なくない。ロシア政府の財政はブレント60ドル以下で破綻をきたし、超インフレが到来すると警戒。1998年のロシア財政危機では原油価格の下落に伴い輸出原油からもたらされる税収が減少したため政府の財政がひっ迫し国内経済の混乱や金融不安を招いた。アジア危機も加わり、最終的にはノーベル経済学賞受賞者が設立に関与したロングターム・キャピタル・マネジメント (LTCM)の破綻にまでつながった。

通貨安を是正するために政府が行うことは常に同じだ。まず、政策金利を引き上げる。その後、資本規制と続き、最終的には景気の悪化や政権交代につながっていく。問題は、ロシアのプーチン大統領の権力がどの程度強いかということになる。現状では、かなり強いと考えられている。プーチン大統領の支持率は、クリミア統合を受けて過去最低の53%から過去最高となる80%超えとなり、その後も低下する兆しは見られないという。

ただ、経済が悪化しインフレが市民生活を直撃した場合、高支持率を維持することは困難と考えられる。モスクワ市では主食であるパンの値段が10%上がる恐れもあるという。タカ派で知られるプーチン大統領が経済改革よりも戦争などで権力を維持しようとする可能性がリスク材料と考えられている。予断を許せない状況は続く。プーチン露大統領が現地時間18日に予定している演説に注目が集まる。《KO》

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