師走相場の「過度の株高」では逆に最悪ケースに備えて選挙関連株に再アタックも一考余地=浅妻昭治

2014年12月1日 09:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

 1カ月も早く望外なクリスマスプレゼントが届いた。OPEC(石油輸出国機構)の減産見送りである。前週末11月28日の米国市場では、原油先物(WTI)価格は、4日続落し1バーレル=65.69ドルまで下げ4年半ぶりの安値に落ち込んだ。クルマ社会の米国では、28日からスタートした年末商戦への好波及が期待され、東京市場では、日経平均株価が、211円高と急反発し、あの黒田日銀が発動した追加金融緩和策をテコにつけた11月14日の年初来高値にあと48円と迫った。

 OPECのクリスマスプレゼントが、明2日に公示され12月14日に投開票日を迎える衆議院選挙の選挙結果も左右することは間違いなく、その影響がどう出るか、その場合、株価の方向性がどうなるか2つのケースを想定したい。麻生太郎大臣は、「追い風も向かい風もなく、風が吹かなければタコが上がらない」とコメントしたそうだが、第1は、どうしてどうしてこの師走相場の株高が、「アベノミクス効果」を立証して、不意を突かれて出遅れ、候補者調整に手間取った野党各党を尻目に現在の「一強多弱」体制の維持につながるケースである。

 このケースでは、師走相場は強気対処が正解で、ことによったら14日の投開票日を挟んで2段ロケット発射相場の展開も想定されることになる。まさに2年前の総選挙での自民党圧勝による安倍政権誕生後の底上げ相場の再現につながるもので、海外投資家主導の輸出主力株だろうと個人投資家中心の材料株だろうと、全銘柄ともカイで「掉尾の一振」を享受することができることになる。

 第2は、師走相場の株高が、有権者や中小企業、地方の景気マインドを逆撫でする「過度の株高」となって、攻め口を欠いていた野党各党に資産効果が一部の富裕層にのみに偏在する「格差拡大」の選挙キャンペーンに格好な口実を与えて与党が議席数を減少させ、とても「アベノミクスの信任」とはいえない投票結果となる最悪ケースである。この場合は、かつての衆議院と参議院の多数派が異なる「ねじれ国会」の恒常化で首相が一年ごとに交代し「決められない政治」が続いて、内閣支持率が10%下がると、日経平均株価が1000円幅のショック安と連鎖した政局不安相場まで巻き戻すことはないものの、この2年間、休止していた政局火山のマグマが胎動を始めることが確実になる。株価は、14日の投開票日を境に方向性を変えることになるはずだ。

 今回の当コラムは、選挙結果が、以上、2つのどちらのケースとなっても、次に安倍首相が選択する政治行動は一緒であり、そのどちらでも選挙関連株の再動意を予想するのを眼目としている。第1の「一強多弱」体制維持ケースでは、この余勢を駆って安倍首相は、今回の「アベノミクスの信任」と同様に次々と「ワンイシュー(単一争点)選挙」を仕掛けてくるかもしれない。争点は、安全保障問題、沖縄普天間基地移設問題、原発再稼働、環太平洋経済連携協定(TPP)、憲法改正など数限りなく多く、まさに同首相の政治信条の「戦後レジームの大胆な見直し」に突き進むまで終わらない。

 第2のケースでは、この最悪ケースの失地回復を図るために、安倍首相の強気、強気の政治姿勢からもう一度、国民に信を問う挙に出ることもあり得ると想定される。その場合、2年前に野田前首相の「近いうち解散」を現実にみているだけに、追い詰められてからの解散・総選挙ではなく、早め早めの反転攻勢は十分に考えられることになる。

 以上、政治門外漢の素人の政治仮説(妄想?)では、選挙結果がいずれに振れても、選挙関連銘柄に特需が発生する結論となった。同関連株は、消費税再増税先送り・解散総選挙観測の強まりとともに急騰し、11月21日の解散とともに材料出尽くしとしてほぼ往って来いとなっているが、来春の統一地方選挙も控え、師走相場の銘柄ポートフォリオの一角にマーク、再アタックのチャンスを探ることも試してみたい。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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