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長期化する原油価格低下 日本を含めた世界各国への影響は?
1リットル当たり170円近くまで上昇していたレギュラーガソリンの全国平均価格は、10月半ば以降の原油価格低下を受け、11月下旬現在では160円を切りつつある。しかし、それでも原油の低下幅を考えると、日本国内のガソリン価格の低下幅は小さいとも思える。[写真拡大]
世界的な原油価格急落は、日本経済にも影響を及ぼしている。消費税が8%に増税された後、1リットル当たり170円近くまで上昇していたレギュラーガソリンの全国平均価格は、10月半ば以降の原油価格低下を受け、11月下旬現在では160円を切りつつある(それでも原油の低下幅を考えると、日本国内のガソリン価格の低下幅は小さいとも思えるが)。消費者や企業にとっては、原油価格の低下は負担軽減となるため、ありがたい面が大きい。しかしもちろん、良いことばかりではない。むしろ、経済全体の先行きを考えると足踏みとなる可能性が高く、その懸念は原油急落から1ヶ月が経ち、現実のものとなりつつある。
世界経済・金融の動きとして見ると、原油価格の急落は各国でインフレ期待の低下を招いている。実際に、原油価格の急落以降、欧米では消費者物価指数は低水準から回復の兆しを見せておらず、デフレからの脱却が難しくなっている。
原油価格急落の原因には、アメリカのシェールガス・オイルの開発がある。アメリカではシェール採掘ブームによって、国内での原油生産量が一気に急増した。米国内での原油消費の内、60%あった外国産原油は2016年には半分以下の25%まで減るという見通しもある。
もちろん、それだけで世界的な需要と供給バランスが崩れるわけではないが、サウジアラビアを初めとした原油生産国はシェアを守るために、そうしたアメリカのシェール台頭を原油市場から締め出したい思惑がある。そのため、需要が減っても減産はせず、価格を落とすことで、シェールの価格を引きずり落とし採算が合わないように持っていきたいのではないか、との見方が強い。加えて、アメリカが金融緩和をやめたことで、原油に投資されていた資金が引き上げられたことも大きいだろう。
国際エネルギー機関(IEA)が11月14日に発表した11月の石油市場月報によると、供給が減らない限り原油価格下落は15年前半も続くと言われている。シェアを守りたいサウジら原油国と、シェールへの転換を視野に入れたアメリカの折り合いが付かない限り、問題は長期化しそうだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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