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【政治家に訊く】森まさこ自民党参議院議員(3) 総選挙2014:「加点主義こそが、官僚を働かせる方法」
【11月20日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
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安倍首相は、21日に「衆議院解散・総選挙」に踏み切ると表明した。安倍内閣が目玉法案と位置づけていた女性活躍推進法案は、今国会では成立しない事態に陥った。SFNでは、第二次安倍政権で女性活力・子育て支援担当相に抜擢された森まさこ議員に話を聞いてきた。そこで、現在の率直な気持ちも含めて行った。なお、最終回である第4回目インタビューの掲載は、投開票後になることを予めお伝えしておく。
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■女性活躍推進法案が廃案に
横田 既に解散の噂が飛び交っていた13日段階で、重点課題のひとつと位置づけられてきたこの法案の成立は、絶望的となっていました。実際、審議未了・廃案となった今、「女性の輝く社会を目指して」尽力なされてきた森さんの率直な気持ちをお聞かせください。
森 今国会で成立しなかったことは非常に残念ですが、来年の通常国会で必ず成立すると思っています。
横田 選挙中、国会議員は筆舌に尽くせないほど多忙を極めますが、逆に「暇になる」のが官僚です。とはいえ、臨時国会中の解散なので、予算編成も含めて、「自分の担当している仕事に悪影響が出たらどうしよう」と、官僚はやきもきしていると思います。霞が関は「減点主義」が強くはたらく場所ですから。
森 福田総理時代に提言したことがあるのですが、霞が関は「加点主義にするべき」だと思います。「この政策はいい」と思って実行に移した官僚が、見事成功させることができたら、加点になるという風に人事評価を見直すべきです。
失敗すればマイナスになるというのであれば、誰もが「やらない方がまし」と考えてしまいます。それでなくとも、国家公務員は給与が一律で保障されているので、誰もチャレンジしようとしなくなるのは当然です。
人事評価システムを加点式に変えれば、選挙中に仕事がストップするどころか、新しい「政策プラン」を考え、挑戦を試みる官僚が増えてくるのではないでしょうか。
■女性官僚の退職契機は、夫の「転職」
横田 過去の霞が関の問題点として、一部の省庁を除き、完全な「男性社会」だったことがあります。安倍政権の推進する女性の採用・登用の促進や男女の仕事と子育て支援は、まず国家公務員から率先して取り組むことと決められた。森さんの大臣時代に、「国家公務員の配偶者帯同休業制度」が創設されています。
森 女性官僚にこそ、挑戦してもらいたいと思っています。霞が関の女性官僚が「退職」を決意するのは、結婚や出産のタイミングではないからです。夫の留学や海外赴任のタイミングで省を去っているケースが非常に多かったことに、ある時気づきました。
霞が関では官僚同士の結婚が非常に多いのですが、子どもが小さい時に夫に大使館勤務の辞令が降りると、やはりついていきたい。しかし、数年間、海外で休業することはできず、これまでは辞める以外になかった。
彼女たちは、「日本の頭脳」です。国の税金で育ててきたのに、みすみす失っていいのかという思いは以前からありました。そこで、人事院総裁にかけあって通したのですが、別の「横やり」が入りました。
「国家公務員にそんな優遇をしていいのか」
という霞が関内からの批判の声です。「減点主義思想」のあらわれでしょう。
■男女の子育て時間の比率は7対1
しかし、民間企業は霞が関を見て動く。夕方に電気を消し、夜は働かないように努めないと、女性も男性も同じように子育てする社会なんて創れない。
日本は男女の子育て時間の比率が男7対女1です。
横田 森さんは一時期、任期付公務員として金融庁に入庁し、貸金業規制法改正に尽力していたと聞いています。だから、霞が関の事情にも精通している。ところで、法改正で一番ネックになったのは、減点主義を恐れる「官僚たちの無言の抵抗」だったのではないですか。
森 正直、貸金業規制法改正なんて、誰もやりたがっていなかったと思います。だから数十年も手つかずのままだった。外から来た私が、中の澱みを壊す以外になかったのです。
次回インタビューではは、貸金業規制法改正によって新たに生じた課題と、女性の金融リテラシーについてもお話させていただければと思います。(聞き手・横田由美子)【了】
森雅子/もり・まさこ
1964年、福島県いわき市生まれ。東北大学法学部卒業後、27歳で司法試験に合格(司法研修所第47期)。95年、弁護士登録。98年、独立し弁護士事務所設立し、消費者事件を中心に手がける。ニューヨーク大学ロースクールを経て、金融庁に任期付職員として入庁。消費者保護活動に奔走。2007年、参議院議員選挙に自民党公認で福島県選挙区から出馬し、初当選。現在2期目。著書に「あきらめずまっすぐに」(グラフ社)がある。HPに、森まさこオフィシャルサイト(http://www.morimasako.com)
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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