積水ハウス 環境・ストック・高齢社会をキーワードに2016年2兆円超え

2014年11月21日 11:46

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記事提供元:エコノミックニュース

積水ハウスの強みであるβ構法による3・4階建ての販売をさらに強化、専用住宅だけでなく店舗併用型など多目的な複合型住宅にも拡大する

積水ハウスの強みであるβ構法による3・4階建ての販売をさらに強化、専用住宅だけでなく店舗併用型など多目的な複合型住宅にも拡大する[写真拡大]

 国内では11月18日の安倍首相会見で、21日の衆院解散が決定、「2015年10月に予定していた10%への消費増税が先送り」されることが、ほぼ決定した。同時に、首相は「消費増税の再先送りはしない」と明言。2017年4月に増税するとした。

 本年度4~9月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算1.6%減と2四半期連続のマイナス成長に沈んでおり、同時期の新規住宅建設も大きく落ち込んでいる。ただ、住宅着工の落ち込みは前回の増税による駆け込み需要後の反動減が予想以上に長引いていることが大きな要因だとされている。

 そのような状況の中、積水ハウスが2014年度中期経営計画を発表した。それを受け、同社株が11月14日、年初来高値を更新した。2015年1月期の連結営業利益を従来予想の1340億円から上方修正し、前期比約10%増の1450億円、2期連続の最高益を記録しそうだと発表。また、株主への利益増進を目的にした自社株買いも発表。発行済み株式数(自己株式を除く)の1.44%にあたる1000万株、金額にして170億円を上限に取得するという。配当性向40%と合わせて総還元性向を60%とするとした。これらが好感材料となったわけだ。厳しさを増す住宅業界の中で、成功する要因はどのような施策なのか。

 積水ハウスの中期経営計画では最終年度の2016年度で売上高2兆円超、純利益1000億円以上を掲げる。その計画の内容をみると、同社のコア事業である「請負型ビジネス」の戸建住宅部門では非常に手堅い計画となっている。

 具体的な中身をみると、請負型ビジネスではフラッグシップ商品の「イズ・ステージ」を擁する「イズ・シリーズ」の新商品展開などで中高級商品の拡販で計画達成を目指す。社会的にも重要課題となっている地球温暖化やエネルギー問題解決を図るネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとなる「グリーンファースト ゼロ」についても更なる普及促進をめざす。

 また、賃貸型住宅「シャーメゾン」で既に46.2%強が、同社の強みであるβ構法による3・4階建てとなった。この3・4階建て多層型住宅の販売強化は専用住宅だけでなく店舗併用型や多世帯住宅などにも拡大している。

 今後、ますます需要が高まる分野だとして、同社は多くの既存顧客を持つ強みを生かした環境配慮型設備の提案や大型リフォーム事業、中古住宅の流通促進事業などに積極的に取り組む。また、他社に先駆けて取り組んできた医療・介護事業、その他「住」周辺ビジネスにも取り組む。

 なかでもストック型ビジネスおいて、戸建・賃貸住宅でのリノベーション事業、とくに1000万円超の大型リフォーム事業の強化を行なうという。同時に、同社が企画販売してきたマンション4万5000戸を対象とした大規模リフォームなどの新たな事業展開を図る。また、良質な住宅の適正な資産維持、長寿命化、そして流通促進のために、スムストック事業の積極的な展開を図っていく。

 昨年600億円だった医療・介護事業が、先期600億円と急成長。この医療・介護事業を本格化させる。今後の高齢社会の到来に向けて、サービス付き高齢者向け住宅の販売を拡大させる。そのため専門の子会社「積和グランドマスト株式会社」を設立し事業を拡大していくという。

 積水ハウスはこれまで、請負型ビジネスで6割、ストック型と開発型ビジネスでそれぞれ2割だった売上を、2020年までに請負型4割、ストック型・開発型がそれぞれ3割となるような業態をめざす。

 これら計画内容を精査すると積水ハウスの中期経営数字の達成は十分に実現可能な計画といえるのではなかろうか。すべての事業で「質の高さが量を呼び込む」(同社・阿部俊則COO)という姿勢で、それぞれの事業に臨むという。(編集担当:吉田恒)

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