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【黒澤善行の永田町ウォッチ】増税判断に絡む駆け引き、与野党攻防に要注意
【11月14日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
政府・与党内では、低迷する個人消費の刺激策や急激な円安対策などの経済対策を盛り込んだ補正予算案の編成に向けた議論などが行われている。安倍総理は、11月17日発表の7〜9月期の国内総生産(GDP)1次速報値や、18日にも終了する、2015年10月からの消費税率10%引き上げによる日本経済への影響などを検証する「今後の経済財政動向等についての点検会合」の有識者らの議論などを見極めたうえで、18日にも補正予算案の編成を指示するようだ。
景気を下支えする経済対策として、生活支援策を促す新たな交付金をつくることなどが検討されている。新交付金制度では、地元商店街で使える商品券の配布や、漁業や運輸業など地方の一部業界や寒冷地の低所得者などを対象とした燃料費補助、子育て世帯や低所得者世帯への給付金など、政府が用意する複数メニューから、自治体が地域事情に沿った生活支援策を選択できるようにするという。ただ、バラマキ施策とならないよう所得制限を設けて、中・低所得者などが支援対象となるよう要件などを定めるようだ。
2015年10月からの消費税率10%への引き上げ是非をめぐっては、安倍総理が引き上げを先送りした場合、衆議院解散・総選挙に踏み切るのではとの見方が浮上し、様々な憶測も飛び交っている。
もっとも安倍総理は、11月17日発表の7〜9月期の国内総生産(GDP)1次速報値や、18日にも終了する有識者らによる点検会合の結果などを見極めて慎重に判断すると述べており、現時点では衆議院解散を否定している。菅官房長官も、安倍総理は11月17日発表の1次速報値と12月8日発表の改定値(2次速報)の二つの指標も見極めたうえで最終判断をするのではないかとの認識を示している。
今後、安倍総理の消費税率引き上げ判断に絡む駆け引き、国会運営や審議日程をめぐる与野党攻防に注意しながら、それぞれの法案審議の行方を見極めていくことが重要だろう。
【了】
黒澤善行(くろさわよしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)、『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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