NYの視点:ドラギECB総裁の統率力への疑問

2014年11月12日 07:02

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記事提供元:フィスコ


*07:05JST NYの視点:ドラギECB総裁の統率力への疑問

欧州中央銀行(ECB)メンバーはたびたび、ドラギ総裁の運営方針に関して不満をあらわにしている。メンバーは、助言を求めることなく即興的な言及で金融政策を決定してしまう総裁の運営方針を非難。

ユーロ圏が崩壊の危機にあった2012年、ドラギECB総裁はユーロを保護するため「(whatever it takes何でも行う)」と公約した。このことが欧州の金融市場を救ったことは有名な話。ECBがソブリン国債の購入も辞さない構えだとの印象を市場に与えた。しかし、この言及はドラギ総裁が広範な助言を得ることなく、土壇場で加えたことが明らかになった。当時、米国で財務長官を務めていたガイトナー前長官は同氏の著作本(stress test:reflations on financial crises)に関する英フィナンシャルタイムズ紙とのインタビューの中で明らかにした。

本に関する説明で、ドラギ総裁の有名な「(whatever it takes何でも行う)」講演で、パニックモードであったドラギ総裁が即興的に(whatever it takes何でも行う)との文言を原稿に加えたことを本人がのちにガイトナー米前財務長官に語ったという。さらに、この時点で、ドラギ総裁は何の確固とした計画もなかったという。

ドラギ総裁の有名な2012年の講演以降、ECBはいまだに米連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和(QE)に踏み切っていない。ドラギ総裁のリーダーシップに関する懸念は強まりつつあるもののヘッジファンドは総裁のQEも辞さない断固とした公約を信頼しユーロの売り持ちポジションを増やしている。ユーロの売り持ち高は11月4日時点で、ユーロ導入来で最大を記録した2012年以降で最大規模となった。《KO》

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